POPPIN‘ LOVE可愛いより綺麗、俺が食べるのを見るのが好き。
休日はキラキラお出かけよりものんびり過ごしたいタイプ
Qどんな人?
A運命の人!
「ふふっ♡」
「…楽しそうだな浮奇」
「ひひ、今週ピクニック行くの。
俺がお弁当作るって言ったら俺も作りたいってなって♡
だから前日からお泊まりしてぇ…」
「…ってうちだろう。その会場…」
「そうだよ。でも離れてるじゃん、部屋」
名前の通りうっきうきで語るのは浮奇ヴィオレタ。
彼は数年片思いしていた男性に中高生は無理だと断られていたのだが
ここで成人し大学生になったことで再アタックしたらしい
晴れて恋人同士となったと大喜びで親友に報告したが
親友ーレガトゥス・オーヴィドは苦い顔をするばかりだった。
「彼氏、レガのお兄さんなんだっけ?」
「そうだよ。アラサーのくせに10代の浮奇にデレデレしやがって気色悪い」
「そんなこと言わないで。ふーちゃんはイケメンだし!」
「んはは!恋は盲目っていうもんね。写真ないの?」
「えー…まだ盗撮しか無い」
向かいからコーヒーカップを弄ぶシュウは2人のこの対比を大層喜んでいる。
「これ」
「…あー……」
そこに写っていたのは、ヒゲが伸びて髪がぼさっとしているおじさんと
キラキラにキメ、しなだれかかった自分の友達だった
「…お笑いタイプ…?」
「めっちゃ言葉選ばれてるぞ浮奇!!」
「違うの!!!これは寝起きなだけなんだって!」
「や、優しそうだと思うよ」
「くっ…ビッチどもめが…」
いいもん、ふーちゃんの魅力は俺だけがわかれば!
と口を尖らせるとシュウとレガトゥスはクスクスと笑っていた。
「って!めちゃくちゃ悔しかったんだから!」
「まあおじさんはその通りだし10代に手出してるのも……しかも弟の同級生……」
「俺たちはじゅ・ん・あ・い!ふーちゃんかっこいいのに」
ふーちゃんことファルガー・オーヴィドはレガトゥスと10離れた兄弟だ。
中高と兄に迫りまくる浮奇を見てレガトゥスはここぞとばかりに揶揄っていたのだが
付き合うとなると話は違う。
兄と親友を同時に失ったようであまり面白くなかった。
「全くうききの趣味はわからんなあ」
「えー?俺趣味いいと思うけど」
「君のセンスはどんなお姫様にも負けないよ」
ちゅ、と髪の毛に唇を落とすと浮奇は不意打ちに刺されてクッションに顔を埋めてしまった
「ほらお顔見せて。クッションにラメがつくだろう」
「それが理由ー!?」
「顔にラメを乗せて出勤した独身男性の気持ちを考えて見ろ」
「可愛い恋人がいますー手を出さないでくださいー」
「本当に可愛いなあmy baby」
「もっと言って♡」
明日のためにお弁当を作ろうと集まった金曜日の夜だが
2人のしていることはソファでくっついて丸まっていることだけ。
横でこうやってくっついていることが許されなかった前を思い出してまた幸せを噛み締めてしまう
「あ、そういえばこないだ買った限定のお菓子食べようよ、」
「…あ」
「ん?」
「……すまん、食べちゃった」
「えええええええ!!!!!??????」
「つい夜中に」
「夜中!?ポテチだよ!?最低すぎる!!!」
前言撤回。
こういうところ、思いやりがない。俺が限定好きだってわかってたじゃん…
怒ってるような落ち込んでるようなしょぼしょぼした声に
ファルガーは逆にキュンとしてしまう。
この喜怒哀楽が、いつでも踏み込んできてくれるところが、
ファルガーが浮奇を愛する所以なのだ。
「な、これからコンビニに行こう!なんでも買う!」
「なんでも…?」
「なんでも!」
「じゃあ〜…、極薄いやつとか…買って貰っちゃおうかな〜?」
「……うきき…」
ファルガーはため息をついて、おどける浮奇を後ろから抱きしめ耳元で囁いた
「コンビニのものはサイズが合わないし、足りない。あともう、あるから」
「………わぁ」
「行くぞ。ほら、我のパーカーもうききは完璧に着こなすな」
「え、あ、ま…まって…」
「なんだ、寒いか?」
「むしろあつ…」
「じゃあ手は繋がないでいいか」
「繋ぐ!!!」
外に出るともう息は白くなっていて。
ファルガーは窓越しに部屋にいるレガトゥスにも声をかける
「コンビニ行くけど何かいるか?」
「……私も行く」
「そうか!」
「ドッゴもいいか?」
「いいよ」
「今用意するから」
レガトゥスが素直な時、浮奇は絶対に茶化したりしない。
ニコニコとファルガーと顔を見合わせた。
「なんだよニコニコして」
「可愛いなって」
「ドッゴは甘えん坊だからな」
「ふふ」
道すがら、浮奇がコンビニに行くことになった経緯を話せば
レガトゥスは爆笑しながらドッゴと走り回っている
「ピクニックは日曜にするかあ」
「え、明日は…?」
「うききの腰がこれから使い物にならなくなる可能性があるから」
「ねえ今外!!!!!!!」
「明日はポテチでもポップコーンでも食べながら映画を見よう」
「服ない」
「我のを着ればいい」
「…俺、初めてなんだからね」
「優しくする。ゆっくりしよう」
「もう…」
「え!浮奇2泊するのか?やりたいゲームがあるんだが」
「やろ〜」
「やっぴー!」
「3ぴ…うぐっ」
ドッゴがファルガーにのしかかる。
そのあと結局お菓子パーティからのゲーム大会になったり
映えお弁当クッキングスクールになってしまったりと
思った休日にはならなかったようだが3人は多いに良い時間を過ごしたのだった
「…旅行にでも行くかな……」
ファルガーはぽそりとつぶやいたが、またそれは別の話。