ひかり アーサーはここのところグランヴェル城から出られずにいた。早朝から会議が続き、その合間に来客の謁見があり、さらにその隙間に執務室で書類仕事を行うという忙しさだ。寝室でゆっくり眠ったのはいつだったか、思い出せない日々が続いている。ここのところ、しばらく保留になっていた案件が急に動き始めたのだ。それは喜ばしいことだったのだが、それが偶然いくつも重なってしまった。
「一件片付いてから順繰り次が動き出せばよかったのですが」
「仕方がないよ、ドラモンド。滞ったままよりずっといい」
「しかし殿下、どうかお食事だけでもきちんととっていただきませんと」
「わざわざお前が持ってきてくれたのか」
「他の者では頼りになりません。昨日も一昨日も昼食をお忘れでした」
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