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MOURNING1000年後のカイアサ(3)1000年後のカイアサ(3)「うわ、光った!」
突然、驚いて声をあげたのはカインだった。その目に光り輝いたものは、暗くてぶ厚い雲の隙間から鳴り響く雷でも、夜を告げる街の街灯でもない。それはカインの足元に生えている、どっしりとした太い太い木の幹だ。
樹齢千年を超えているであろうその姿は、誰にも侵されることがなかったのだろう。とても神秘的で美しく、何かの神様さえ宿っていそうな佇まいだった。
カインは感嘆の声をあげながら首を天へと傾けてみたが、その全貌はどれだけ後ずさって見上げてみても、見渡せないほどの大きさだった。
「光ったのは木の幹じゃない、木の根元に生えている、この苔だろう」
アーサーは膝を曲げ、白い指先でその深い緑に触れた。その光は、蛍のようにぼうっと光ってはまた暗くなる。何とも不思議な植物を、カインはアーサーの隣からまじまじと見つめていた。
2917突然、驚いて声をあげたのはカインだった。その目に光り輝いたものは、暗くてぶ厚い雲の隙間から鳴り響く雷でも、夜を告げる街の街灯でもない。それはカインの足元に生えている、どっしりとした太い太い木の幹だ。
樹齢千年を超えているであろうその姿は、誰にも侵されることがなかったのだろう。とても神秘的で美しく、何かの神様さえ宿っていそうな佇まいだった。
カインは感嘆の声をあげながら首を天へと傾けてみたが、その全貌はどれだけ後ずさって見上げてみても、見渡せないほどの大きさだった。
「光ったのは木の幹じゃない、木の根元に生えている、この苔だろう」
アーサーは膝を曲げ、白い指先でその深い緑に触れた。その光は、蛍のようにぼうっと光ってはまた暗くなる。何とも不思議な植物を、カインはアーサーの隣からまじまじと見つめていた。
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MOURNINGお出かけする1000年後のカイアサ⚠️モブ女が出てきます
1000年後のカイアサ 2二人で住んでいる家から箒で半日ほどの遠く離れた港町では、年に一度の祭りが開かれていた。栄えている街なだけあって出店も多く、一歩進めば肩がぶつかるほどに人混みでごった返している。その光景は故郷の栄光の町の祭りを彷彿とさせた。
少し前を歩くアーサーは盛んな街の様子に目移りしているようで、足元がふらふらとおぼつかない。きょろきょろと周りを見渡すアーサーの手を掴んで、はぐれないように指を絡めて握った。普段は外で手を繋ぐと、気はずかしいと頬を染めて俯くくせに、それにすら気が付かない様子でアーサーははしゃいでいる。
「カイン!あれは何だろう?占いの店か?」
「おいアーサー、ちゃんと前を見て歩けって」
「あれは何だ?すごく大きいな…干した肉のようだが…。あれは…絶滅されたと言われている植物に似ているな…もっと近くで見てみたい」
8097少し前を歩くアーサーは盛んな街の様子に目移りしているようで、足元がふらふらとおぼつかない。きょろきょろと周りを見渡すアーサーの手を掴んで、はぐれないように指を絡めて握った。普段は外で手を繋ぐと、気はずかしいと頬を染めて俯くくせに、それにすら気が付かない様子でアーサーははしゃいでいる。
「カイン!あれは何だろう?占いの店か?」
「おいアーサー、ちゃんと前を見て歩けって」
「あれは何だ?すごく大きいな…干した肉のようだが…。あれは…絶滅されたと言われている植物に似ているな…もっと近くで見てみたい」
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MOURNING1000年後のカイアサの朝めちゃくちゃ捏造です
1000年後のカイアサ(1)夢の中で鳥が唄っていた。陽気で、明るい鳥だった。窓から射す太陽の光が、瞼の内側をじんわりと赤く染めていく。柔らかいベッドシーツに指を寄せて寝返りをうつと、珈琲豆の香りが鼻をくすぐった。
「う……ん、朝か…」
重い瞼と気だるい体をゆっくりと起こそうとすると、ぼやけた視界の隅で人影が揺らめき、こちらに近づいてきた。そのまま額に口付けられて、心地良さに再び目を瞑りそうになると、大きな掌が優しく頭を撫でた。
「おいおい、二度寝か?」
人影の主はカインだった。恐らく彼もベッドから出たばかりなのだろう。指先で触れたシーツの上にはネクタイと、黒い隊服の上着が乱雑に置かれている。
「ん…カイン、今何時だ?」
「十時だよ」
3661「う……ん、朝か…」
重い瞼と気だるい体をゆっくりと起こそうとすると、ぼやけた視界の隅で人影が揺らめき、こちらに近づいてきた。そのまま額に口付けられて、心地良さに再び目を瞑りそうになると、大きな掌が優しく頭を撫でた。
「おいおい、二度寝か?」
人影の主はカインだった。恐らく彼もベッドから出たばかりなのだろう。指先で触れたシーツの上にはネクタイと、黒い隊服の上着が乱雑に置かれている。
「ん…カイン、今何時だ?」
「十時だよ」
oburuta14
DONEカイアサすごろく会で話していた、アーサー宛てのラブレターを燃やすカインの話。オズ様視点のカイアサです。
ラブレターを燃やす話精霊が喜んでいるのをオズは感じていた。
目に見えているわけではないが、肌に纏わりつくように精霊が喜び踊っている。
中央の国の精霊らしく、中央の町の復興を手伝った魔法使いたちに喜んで力を貸し与え、もっと使役して欲しいと騒いでいるのだ。
「――――………ん」
瓦礫にしたことは幾千あれど、壊れたものを復元することなどかつての私にはなかったが、アーサーに魔法を教えるようになってからは幾度となく使用した。
箒の練習で部屋のあらゆる所に飛んで行き、窓が閉まっていることなどお構いなしに外に飛び出す。治癒を魔法を人に使うのもアーサーが初めてなようにも思える。
「―――すみません!!」
声に反応してオズはゆったりと目線を下げた。
2621目に見えているわけではないが、肌に纏わりつくように精霊が喜び踊っている。
中央の国の精霊らしく、中央の町の復興を手伝った魔法使いたちに喜んで力を貸し与え、もっと使役して欲しいと騒いでいるのだ。
「――――………ん」
瓦礫にしたことは幾千あれど、壊れたものを復元することなどかつての私にはなかったが、アーサーに魔法を教えるようになってからは幾度となく使用した。
箒の練習で部屋のあらゆる所に飛んで行き、窓が閉まっていることなどお構いなしに外に飛び出す。治癒を魔法を人に使うのもアーサーが初めてなようにも思える。
「―――すみません!!」
声に反応してオズはゆったりと目線を下げた。
oburuta14
DONEフィガロ視点ログストのパジャマパーティする日の朝妄想
カイアサ前提のアーサー愛され
パジャマパーティに至るまで オズと他愛のない話をしていた。別に今話す必要もなかったけど、そこにオズがいたし、それに自分の寿命がわかっていたからこそ心残りが少しでもないように、オズの城にある古い酒を飲み干してしまおうと酒の話をしていた。ミチルもルチルも魔法舎にいなくて暇だったってのが一番だけど。
丁度魔法舎の入り口での立ち話でまだ昼前だったから、オズの機嫌さえよければこのままオズの城に酒を取りにいこうかな。今誘えば断ることはないだろう、なんて考えていた時だった。
「オズ様!!」
アーサーの元気いっぱいな声が響いて、それからどすっと後ろからオズに飛びつくように抱き着いた。
俺もオズもアーサーが近づいてきていたことなんてわかっていたけど、それでもまさか後ろから抱き着いてくるなんて想定もしていなかった。オズはそれこそ無言でその衝撃に耐えていたけれど、もしこれがアーサーではなかったら飛び掛かった時点で消し炭になっていただろう。あぁ、でも魔法舎の若い魔法使いたちだったら大丈夫かな?そう思うとこいつも本当に情緒だとかがやっと芽生えてきたんだなと本当に思う。
1970丁度魔法舎の入り口での立ち話でまだ昼前だったから、オズの機嫌さえよければこのままオズの城に酒を取りにいこうかな。今誘えば断ることはないだろう、なんて考えていた時だった。
「オズ様!!」
アーサーの元気いっぱいな声が響いて、それからどすっと後ろからオズに飛びつくように抱き着いた。
俺もオズもアーサーが近づいてきていたことなんてわかっていたけど、それでもまさか後ろから抱き着いてくるなんて想定もしていなかった。オズはそれこそ無言でその衝撃に耐えていたけれど、もしこれがアーサーではなかったら飛び掛かった時点で消し炭になっていただろう。あぁ、でも魔法舎の若い魔法使いたちだったら大丈夫かな?そう思うとこいつも本当に情緒だとかがやっと芽生えてきたんだなと本当に思う。
砂色 koiSunairo
MOURNINGさいきん はやりの かっこいい きゅうけつき パロ!やっぱり さいきょうだ!
書きたいとこだけ書いた。
めちゃくちゃせーへきを詰め込みましたので、年下カ(人間)×年上ア(吸血鬼)、両方たぶん魔法使いっていうわけのわからなさです。ほぼ推敲なしの走り書き。それでもよければ。吸血鬼っていうよりはヴァンパ●ラって感じ?で。 3186
4stay5
CAN’T MAKE #けだふれ0904_お題 用に書きました。最初に狙ってたお題と方向性がだいぶ変わってしまったので後付となってしまうのですが以下のお題とさせてください。
「すれ違い」「永遠?」「幸せ?」
弱さを見せあえるのいいなーという気持ちで書いたのでちょっとカインがヘタれ
もうひとりじゃないのにまだ薄暗く朝とも夜ともいえない時分にううんとカインは大きく寝返りを打った。ボスンと腕がベットマットに弾かれる。
ふとした違和感。
ないはずがないもの。
その隣にあるはずのもの。
夢うつつのままカインは無意識に手を伸ばしてそのあるはずの何かを探した。
けれど見つからない。
何だろう…名前を思い出そうとしてその姿が先に目に浮かぶ。いつも傍にいるのが当たり前で、手を伸ばせばすぐに触れる事ができて、いつでもその熱を感じることができて、溶けるように一つになれたらと常に願っている、その感触を今は感じることができない。
「…アー…サー…?」
微睡みの中でカインは彼の名を呼んでみる。彼の親愛なる伴侶の名を。
厄介な傷のせいでカインは相手に触れない限りその姿を目にすることは出来ない。
2197ふとした違和感。
ないはずがないもの。
その隣にあるはずのもの。
夢うつつのままカインは無意識に手を伸ばしてそのあるはずの何かを探した。
けれど見つからない。
何だろう…名前を思い出そうとしてその姿が先に目に浮かぶ。いつも傍にいるのが当たり前で、手を伸ばせばすぐに触れる事ができて、いつでもその熱を感じることができて、溶けるように一つになれたらと常に願っている、その感触を今は感じることができない。
「…アー…サー…?」
微睡みの中でカインは彼の名を呼んでみる。彼の親愛なる伴侶の名を。
厄介な傷のせいでカインは相手に触れない限りその姿を目にすることは出来ない。
nayutanl
DONEカイアサWebオンリー【気高いあなたにふれる朝】専用新婚さんお題です。指輪をなくしちゃったアーサーと、なくしもの慣れしてるカイン。
#けだふれ_アフター
#けだふれ_お題
指輪がない……と言い出したのは、意外にもアーサーの方だった。
カインの両親、特に母は料理の時にはずしてそのまましばらく見つけられなかったといったことが何度かあったことや、カイン自身片付けが苦手な自覚を持っているのもあって、初めて指につけたその瞬間からなくさないように彼にしては神経質に注意を払っていた。
それでもなくすことがあるとすれば絶対に自分だろうと思っていたが、どんなものでも、誰の持ち物でも、なくなるときはなくなるということをいま目の当たりにしている。
城の自室のあちこちをひっくり返しながら、アーサーは迷子になっていることに気づいた子どものようになくした指輪を探している。カインも話を聞いてから手伝っているが、心当たりがないので探す場所にもまず迷う。ひとまず、アーサーの邪魔にならない位置で床に這いつくばって家具の下を中心に探してみたものの、埃らしいものさえ見当たらなかった。とすると、清掃後になくしたか普段と違う場所にしまっておいたのを思い出せなくなったか―考えを巡らせながら、カインはアーサーに向かい励ますように言った。
1639カインの両親、特に母は料理の時にはずしてそのまましばらく見つけられなかったといったことが何度かあったことや、カイン自身片付けが苦手な自覚を持っているのもあって、初めて指につけたその瞬間からなくさないように彼にしては神経質に注意を払っていた。
それでもなくすことがあるとすれば絶対に自分だろうと思っていたが、どんなものでも、誰の持ち物でも、なくなるときはなくなるということをいま目の当たりにしている。
城の自室のあちこちをひっくり返しながら、アーサーは迷子になっていることに気づいた子どものようになくした指輪を探している。カインも話を聞いてから手伝っているが、心当たりがないので探す場所にもまず迷う。ひとまず、アーサーの邪魔にならない位置で床に這いつくばって家具の下を中心に探してみたものの、埃らしいものさえ見当たらなかった。とすると、清掃後になくしたか普段と違う場所にしまっておいたのを思い出せなくなったか―考えを巡らせながら、カインはアーサーに向かい励ますように言った。
砂色 koiSunairo
DONE #けだふれ0904_アフター#けだふれ0904_お題
けだふれ専用新婚さんお題シートより
新居、不意打ち
自分たちでも可笑しくなって時々笑いだしてしまいながら、アーサーとカインは朝から片時も離れずにいた。互いに必ずどこかが触れあっていなければならないという決まりのようなものが自然にできて、とにかく頑なにそれを守っている。カインが料理をする間アーサーはカインの後ろにずっとくっついていたし、食べる間も隣に掛けて腕と腕がふれあう距離にいた。片付けの間も例外ではなく、あちこちに水を飛ばしながら腕を組んで皿を洗った。
ふた手にわかれて家事を片付けたほうが効率がいいのはわかっているし、こんなことが誰かに知られたらきっと恥ずかしい思いをするだろうが、誰に憚ることもない二人きりの家だ。どちらもやめようなんて言い出さず、午後にはなかば意地になってきて取るに足らない遊びを続けた。魔法を最小限しか使えないのは暗黙の了解で、ときには四苦八苦しながらまるで小さな子供のようだ。
2064ふた手にわかれて家事を片付けたほうが効率がいいのはわかっているし、こんなことが誰かに知られたらきっと恥ずかしい思いをするだろうが、誰に憚ることもない二人きりの家だ。どちらもやめようなんて言い出さず、午後にはなかば意地になってきて取るに足らない遊びを続けた。魔法を最小限しか使えないのは暗黙の了解で、ときには四苦八苦しながらまるで小さな子供のようだ。
砂色 koiSunairo
DONE【カイアサ+ラスティカ】アニバ後だいぶ回復して元気なカインと執事をしたいアーサー
※魔女姿のティカさんはメイドをしたいです
#けだふれ0904_アフター
即興曲 既に傷はほぼ塞がったものの、生命力そのものが底をつきかけたカインの療養は、件の誰も知らない一夜から半月が過ぎた今でも続いていた。カイン自身の実感では、よほどの無理さえしなければ怪我をする以前の生活に戻れるほどに回復しているのだが、フィガロにはまだ日中もベッドで過ごすように言われている。正直なところ、カインは既にうんざりしている。仲間たちがいろいろな気晴らしを持ってきてくれるが、生来の気質というものがあるのだ。カードゲームに何時間も興じるより、一周だけでも魔法舎の庭を走った方がカインの気は晴れるだろう。
それに、きっと忙しくしているアーサーが心配だった。大切な会議を控え、彼はきっと無理をしているに違いなかった。それにひきかえ自分はというと十分に回復した体で一日中寝転んで、何の役にも立つことができない。考えても仕方がないのはわかっているが、その不甲斐なさに幾度もため息が出た。
5795それに、きっと忙しくしているアーサーが心配だった。大切な会議を控え、彼はきっと無理をしているに違いなかった。それにひきかえ自分はというと十分に回復した体で一日中寝転んで、何の役にも立つことができない。考えても仕方がないのはわかっているが、その不甲斐なさに幾度もため息が出た。
砂色 koiSunairo
DONE【カイアサ+フィガロ】片恋と若者たちと古い魔法使い
殿下がフィガロ先生に騎士さんを好きになってしまったみたいで苦しいとこぼしてしまったんですが、先生はまったくいつもと同じ調子で
「消すかい?」
っておっしゃいました。
#けだふれ0904_作品
中庭の種++ ++
「消すかい?」
フィガロの声音はいつも通りだった。捨て去るようでもなく、丁寧過ぎることもなく、さりげないままだ。
「消す?」
アーサーはその意味がつかめず、言われたまま訊ね返した。
「うん。患者さんにね、気持ちを消してくれって頼まれたことが何度かあったんだ」
「消すとどうなるのですか?」
「忘れるよ。綺麗に」
「気持ちを?」
「そう。消してあげると、みんな、楽になったとかすっきりしたとか言ってくれてたよ。消すのもそう難しくないし、痛くも辛くもないしね。だけど」
フィガロは薬棚からいくつかの瓶を取り出すとテーブルの上に並べていった。
「少し、記憶は変えなくちゃいけない」
「記憶……」
「うん。特に恋愛絡みだとね。記憶がそのままだと思い出してまた好きになっちゃって、結局繰り返しになるんだよ」
3321「消すかい?」
フィガロの声音はいつも通りだった。捨て去るようでもなく、丁寧過ぎることもなく、さりげないままだ。
「消す?」
アーサーはその意味がつかめず、言われたまま訊ね返した。
「うん。患者さんにね、気持ちを消してくれって頼まれたことが何度かあったんだ」
「消すとどうなるのですか?」
「忘れるよ。綺麗に」
「気持ちを?」
「そう。消してあげると、みんな、楽になったとかすっきりしたとか言ってくれてたよ。消すのもそう難しくないし、痛くも辛くもないしね。だけど」
フィガロは薬棚からいくつかの瓶を取り出すとテーブルの上に並べていった。
「少し、記憶は変えなくちゃいけない」
「記憶……」
「うん。特に恋愛絡みだとね。記憶がそのままだと思い出してまた好きになっちゃって、結局繰り返しになるんだよ」
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DONE【カイアサ】#けだふれ0904_作品
多忙を極めているアーサーと窓から訪ねてくるカイン
ひかり アーサーはここのところグランヴェル城から出られずにいた。早朝から会議が続き、その合間に来客の謁見があり、さらにその隙間に執務室で書類仕事を行うという忙しさだ。寝室でゆっくり眠ったのはいつだったか、思い出せない日々が続いている。ここのところ、しばらく保留になっていた案件が急に動き始めたのだ。それは喜ばしいことだったのだが、それが偶然いくつも重なってしまった。
「一件片付いてから順繰り次が動き出せばよかったのですが」
「仕方がないよ、ドラモンド。滞ったままよりずっといい」
「しかし殿下、どうかお食事だけでもきちんととっていただきませんと」
「わざわざお前が持ってきてくれたのか」
「他の者では頼りになりません。昨日も一昨日も昼食をお忘れでした」
3111「一件片付いてから順繰り次が動き出せばよかったのですが」
「仕方がないよ、ドラモンド。滞ったままよりずっといい」
「しかし殿下、どうかお食事だけでもきちんととっていただきませんと」
「わざわざお前が持ってきてくれたのか」
「他の者では頼りになりません。昨日も一昨日も昼食をお忘れでした」
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DONE9/4 カイアサオンリー気高いあなたにふれる朝より新婚さんお題をお借りしました。#けだふれ0904_お題
【指輪がない】中央の国の元騎士団長カイン・ナイトレイはいつになく焦燥していた。
本人は特に意識していないかもしれない。
けれど周囲から見れば何か起きているのであろうということが容易に推測できる。
それほどに彼は焦っていた。
「カインや、カイン。そんなに慌ててどうしたのじゃ?」
「我らで手伝えることがあれば力になるぞ。」
「双子先生。いや、何でもないんだ。ありがたい申し出だけど気持ちだけ受け取っておくよ。」
その様子を耳ざとく聞きつけやってきた双子の提案をカインはやんわりと断る。
実際心配1割、興味9割といったところだ。
まだその辺りの判断はできる程度に、彼は焦っていた。
足が急ぐ。
「ねぇケルベロス。さっきから騎士様は何をしているんだろうね?同じところを行ったり来たり。」
1158本人は特に意識していないかもしれない。
けれど周囲から見れば何か起きているのであろうということが容易に推測できる。
それほどに彼は焦っていた。
「カインや、カイン。そんなに慌ててどうしたのじゃ?」
「我らで手伝えることがあれば力になるぞ。」
「双子先生。いや、何でもないんだ。ありがたい申し出だけど気持ちだけ受け取っておくよ。」
その様子を耳ざとく聞きつけやってきた双子の提案をカインはやんわりと断る。
実際心配1割、興味9割といったところだ。
まだその辺りの判断はできる程度に、彼は焦っていた。
足が急ぐ。
「ねぇケルベロス。さっきから騎士様は何をしているんだろうね?同じところを行ったり来たり。」