ドルパロ--
「よいぴ、今日も最高だったよ。アイドルになってくれてありがとう!」
地雷系って言うんだっけ。黒とピンクを基調としたフリフリの洋服に身をまとった女の子が、差し出した俺の両手をぎゅっと握って幸せそうにそう言った。その目の中は人工的な色や模様が見えるけど、いつもキラキラと輝いていて、言ってくれる言葉が全て嘘でないことを示してくれた。
「ありがと! やっぱこの瞬間が一番、アイドルやってて良かったって思うよ」
――本当に、そうだろうか?
***
潔世一、20歳。都内の私立大学に通う極々普通の大学3年。学業の傍ら、"アイドル"をやっている。
アイドルといっても、テレビに出るようなメジャーなアイドルではない。小さなサーキットイベントへの出演、キャパ200人くらいの小さな会場での定期ライブなどを週に何度か行う、所謂”地下アイドル”っていうやつだ。
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