悟空は眼をまたたかせた。
二、三度繰り返し、そして改めて目の前のチチを見る。
「というわけで、修行にいってきてもいいし、ブルマさんとこのパーティーに行くのも好きにしたらいいだよ」
一方のチチはというと、自分の発言で彼が喜ぶものだろうと思っていたようで悟空の反応が薄いことに不思議そうだ。
彼女曰く、パオス山の自宅でのクリスマスパーティーはないらしい。
なぜならば、すでに家を出ている長男一家はビーデルの父親であるサタンのパーティーに今年は参加すると連絡がすでにあり、次男は今やスクールでできた友人達と過ごすのが楽しい年ごろだ。
カプセルコーポレーションでは華やかなパーティーが今年も行われるらしく招待はされているらしい。
彼女は行かないと言った。だから、悟空に修行に行ってもパーティーに行くのも好きにしていいと。
「んで…チチはどうすんだ?」
「おらはこのウチさでゆーっくりするだよ。みんないねぇならごちそうも特には作らねぇでいいし、あるもので済ませて好きな時間にお風呂に入って、早く寝るんだべ」
「ふーん…?」
悟空は考える。
チチは楽しいことは嫌いではないはずだ。
でも最近は少し色々するのは大変になってきた、とも言っていた。
「クリスマスの日ってさ、市場に野菜もっていくだろ」
「んだな。まぁそれもおらがやるで構わねぇだよ」
「いや、オラが行ってくる。で、帰り際にどっか寄ってなんか色々買ってくるからさ。あ、料理しなきゃなんねぇやつじゃなくて、もうそのまま食えるやつ。ケーキも、買ってくっからよ」
「…悟空さ?」
「だから、オラとこの家で、クリスマスやろうぜ?」
片づけとかも、風呂掃除も全部やるし。 と続ける悟空の様子は飄々とした感はありつつも、チチには分かる必死さがあった。
クリスマスには家族達を送り出して、自分だけ自宅で日常として送ることを望むチチに何かしら感じたのだろう。心から好きにやろうとしているので、気遣いは十分だと言おうとしたチチだったが、直後に夫から 「久しぶりにチチと二人っきりになれるチャンスだ」 などと言われてしまったので、一瞬で全身の体温が上がってしまうことになった。