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    第17試合『オオカミ〜Wolf〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

    「悟空さはオオカミみたいだ」
    「オラ、狼牙風風拳は使わねぇぞ」
    「なんでヤムチャさが出てくるだ。おめぇさのことだべ」

     時刻は深夜。夫婦の寝室。
     このふたつの言葉で状況はなんとなく察していただきたい。

     分かち合った身体の熱もほどよくおさまった後、チチは汗を流したいと今夜二度目の風呂に入った。
     汗を流すのが目的だったのでそんなに時間もかからず出てきたチチは寝着を纏いドレッサーの前で髪を好きながら、冒頭のセリフを口にしたというわけだ。

    「鼻が利くからか?」
    「ああ、確かにそれもあるだな。でも違うだ」

     髪を梳る手を止めずチチは鏡越しに笑っている。笑ってはいるが、その中に多少の別の感情も悟空には見える気がする。怒っているというほどではないが、呆れているともまた違うような。
     彼女から香る匂いも素朴な石鹸の香りで、強く感情が高ぶっている気配はない。

    「オオカミの愛情表現って知ってるだか?」
    「あいじょうひょうげん?」
    「んだ。今日、悟天が宿題の調べものかなんかで動物図鑑出しててな。だしっぱだったもんだからおらが片付けたんだけんど、何気にぺらぺらめくっててオオカミのページ読んだんだけどな。愛情表現甘噛みでな、顔とか結構がぶーっていくんだべ。それこそ丸のみでもするつもりなんけ? ってくらい」
    「…………へぇ。」
    「とぼけた声だけんど、察しはついただな?」
    「………悪かったよ。つい、チチのこと噛んじまうんだよなぁ」
    「まぁおらも最中は気づけねえんだけんど、風呂上りとか鏡見るとちょっとぎょっとするくらいになってるのはいかがなものかと思うだよ」

     ほれ、とチチが寝着を軽くはだけると、湯上りで通常よりも血色がよくなっている肌にさらに色濃く「刻まれている」といった感の歯形がくっきりとある。

    「ここだけじゃあねぇからな。もっと他にも、なんだったら人様には言えねぇ場所にもあるからな」
    「いやー、なんか今日は盛り上がっ…、いや、悪かった」

     つい先ほどのことを思い出しにへらと笑いそうになったが、鏡越しのチチの視線に詫びの言葉を述べる。

    「確かに手加減ちょっとできてねぇよな、それ。…しばらく残っちまうか」
    「だろうなぁ」
    「次、気を付ける」
    「そうしてけれ。……でもまぁ、手加減さえしてくれば、嫌じゃあねぇだよ、おら。さっきも言ったけんど、愛情表現だって思ったら、まぁ…悪い気はしねぇからな」

     長い髪を梳くチチから、ふわりと甘い匂いが香る。鼻腔にそれを感じた瞬間、悟空は喉をごくりと鳴らした。彼女の香りはこちらを安定させもするが、高揚させもする。
     悟空に対して愛情を強く抱いているときのチチはやわらかく甘い芳香を纏う。
     動物の番で、雄は雌によって駆られるのだというが、その通りだと悟空は思う。

    「手加減心がけっからさ、またちょっと、チチの首がぶってしてぇなーって」
    「またけ?」
    「愛情表現は何度でもしたくなっだろ?」
    「まぁ、何度でもしてほしくなるだな」

     悟空さは言葉で言うのは苦手だしと言われればぐうの音もでない。
     だから悟空はありったけの好きという感情を込めて自分の元に来た妻をやわらかく抱きしめ、はだけさせた白い肌に大きく口を開けてかぶりつくのだった。
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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第1試合 『空』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    チチは亀仙流の使い手であり、その武は亀仙人も認める達人の域であった。
     まぁ今は孫もいる身であり、全盛期と比べればゆるやかに力量は落ちてはいるがちょっとした暴漢をこらしめるくらいは未だに朝飯前のことだ。

     とはいえ、チチは気は読めないし、気弾も打てない。夫や子供達が得意とするかめはめ波も打てないし、舞空術も使えない。

     舞空術については、悟飯からそれを学ぶ際に一緒にできるようになろうとねだらた。それよりもっと前には、悟天が生まれて少し落ち着いたころによければと、悟飯からも舞空術が使えるようになることを勧められたこともある。
     だがチチは穏やかに辞退した。
     舞空術は確かに身に着けることができれば便利だろうが、気を感じる、気を読むなどのセンスはどうも自分にはないと思ったし、夫が遺した筋斗雲があればチチだって空を移動できる。

     子供達はチチのそれに少し残念そうであったけど納得もしてくれたことがありがたかった。

     筋斗雲に乗って、空を行く。
     朝はまだ少しひんやりした空気の中。昼は、眩しい陽射しの中。夜は満点の空を見られる。
     それが自分の身ひとつでできれば、解放感はひとしおかもしれ 1609

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第4試合 『牛〜Cow〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    農家には農家のための情報誌や、ネットサイトがある。
     そのどちらもチチは確認するが、紙媒体をお茶を飲みながらのんびり眺めるのが好きだ。

     畑仕事を終えて、昼食後の後片付けも終わっての夕方までにある少しの落ち着いた時間に珈琲と軽い菓子をお供にダイニングテーブルで情報誌を拡げていると、向かいの席に悟空が座った。彼は市場から戻ってきたところでチチが持たせていた弁当の外に軽い軽食をとった後にシャワーを浴びたのでハーフパンツにタンクトップというかなりラフな格好でいる。

    「お、牛」
    「んだ、牛だな」

     首からタオルを下げた夫はチチが見ている雑誌にでかでかと掲載されている写真を見て眼を輝かせている。動物が好きな人だからなとチチは思ったが、なにやら期待に満ちた眼でこちらを見ているものだからチチは小首をかしげて見せた。

    「牛、飼うんか?」
    「飼わねぇだよ」

     短いこのやり取りであからさまにがっかりするものだから、その感情の分かりやすさに少し吹き出してしまう。

    「たまたまこの雑誌が酪農の特集もしてるだけだべ。そりゃあ興味がないことはねぇけんど、うちはふたりだけだしなぁ、牛や鶏とかの世話までは考 1013

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

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    TRAINING第17試合『オオカミ〜Wolf〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「悟空さはオオカミみたいだ」
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    「なんでヤムチャさが出てくるだ。おめぇさのことだべ」

     時刻は深夜。夫婦の寝室。
     このふたつの言葉で状況はなんとなく察していただきたい。

     分かち合った身体の熱もほどよくおさまった後、チチは汗を流したいと今夜二度目の風呂に入った。
     汗を流すのが目的だったのでそんなに時間もかからず出てきたチチは寝着を纏いドレッサーの前で髪を好きながら、冒頭のセリフを口にしたというわけだ。

    「鼻が利くからか?」
    「ああ、確かにそれもあるだな。でも違うだ」

     髪を梳る手を止めずチチは鏡越しに笑っている。笑ってはいるが、その中に多少の別の感情も悟空には見える気がする。怒っているというほどではないが、呆れているともまた違うような。
     彼女から香る匂いも素朴な石鹸の香りで、強く感情が高ぶっている気配はない。

    「オオカミの愛情表現って知ってるだか?」
    「あいじょうひょうげん?」
    「んだ。今日、悟天が宿題の調べものかなんかで動物図鑑出しててな。だしっぱだったもんだからおらが片付けたんだけんど、何気にぺらぺらめくっててオオカミのページ読んだん 1351

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    TRAINING第19試合『人形〜Doll〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     ビーデルの義母曰く、夫は自分を家族としての買いだしなどには付き合ってくれるが、時々ふたりで都会に買い物にでかけようというと渋るので女としての意識はもうあまりないのかもしれない、とお茶を一緒にした際に苦笑交じりでこぼしたことがあった。

     確かにビーデルの夫の父親、孫悟空の思考や行動については多少、夫の母親であるチチに同情的になることもある。
     しかしながら、ビーデルは義父である悟空を責める気持ちは皆無だ。
     
     彼なりの、彼の妻への愛情を感じることを時折目の当たりにするからだ。
     それは日常に紛れており、また、彼の妻であるチチ本人がいないところで見られることが多い。

     例えば、昨日。
     悟空の孫娘パンが、ビーデルの実父であるサタンに買ってもらったという人形を見せた時に零した言葉がある。

     精巧な着せ替え人形で、幼い女児が好むかわいらしいドレスがいつくもあるそれを眺め、本物みてぇだなぁと感心していた彼が言ったのだ。

    「この服なんかチチに似合うだろうなぁ。こっちのやつとか、あんまチチは着ねぇ色だけど案外合うんじゃねぇかな」

     きょとんとしてるパンの前で眉間に皺を寄せて考え込む義父 753