酒は飲んでも呑まれるな こいつがこんなに酒に弱いなんて思いもしなかった。
目の前でぐらぐらと頭を揺らしている南雲を見て、神々廻は頭を抱えた。
仕事帰りに何となく酒が飲みたくなった神々廻が、宅飲みが気楽でええなと思いながら近場のコンビニで酒やつまみを選んでいると不意にカゴの重量が増した。顔を上げればよく知っている男がニコニコと笑みを浮かべて立っている。
「会計は別やで」
なんで居んねん。なんて言葉はもう言い飽きてしまったし、この男の神出鬼没さにも慣れてしまっていた。
過去にGPSでも仕込んでいるのではと本気で疑った神々廻が服から持ち物全てひっくり返す勢いで確認したことがあったし、今でも時々確認するが、そういった類の物が見つかったことはない。勘だけで居場所を突き止めるのだから恐ろしい男だと思う。
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