彼は誰時の終わり*
「まぶしい…」
すっぽりと埋まっていた布団から顔を半分覗かせた南雲。思いきり顔を顰めたと思えば呻くような声を絞り出した。
窓の外も部屋の中もまだ薄暗く、眩しいと表現する要素はどこにもない。一足先に目を覚まし、一日の予定を確認していた神々廻は思わず「どこがや」と呆れ声でスマホから隣の膨らみへと視線を移した。
「ちがう…」
「何が」
「ししばは朝だね…」
「…あっそ。ほんなら俺実家帰るわ。あとは好きにせえ」
いつだったか朝が嫌いだと言っていたことを思い出した神々廻は、わざと感情を乗せず言い放ってベッドから立ち上がった。
「いやだ」
咄嗟に伸びてきた手が神々廻の寝巻きの裾を掴む。
「置いてかないで」
いつも振り回してくる南雲への意趣返し。ちょっとした意地悪。そのつもりだったのに。
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