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    武新アンソロ https://twitter.com/tksn_antholo 様のヘッダー企画に参加させていただいたやつです!
    霊基異常で乳児になってしまったたなかくんと、これまで一度もたなかくんに可愛いなんて言ったことない(成人男性に可愛いなんて言うのはものすごい失礼なことだと思っている)先生と、巻き込まれている岡田です やりたい放題だね

    #武新
    wuXin
    #年齢操作
    ageManipulation

    武市瑞山が急に購買部でちぎりパンを買い求めるようになった、その前日の話 玉のような子、という表現を知っている者なら、十人中十人がその形容を思い浮かべるだろう。まるまるむちむちとして今にもこぼれ落ちそうな頬、ちぎりパンそっくりの謎のくびれが並ぶ腕、土踏まずのないむくむくの足。全体のシルエットがもう、福々しいほど丸いのだ。霊基異常で赤ん坊になってしまった幕末四大人斬りが一角、武市瑞山の右腕、田中新兵衛である。
     元に戻すには魔力刺激、とにもかくにもスキンシップが一番効率が良いと聞いて、借りてきた抱っこ紐──結構出番があるんだよねぇと制作者のダヴィンチ氏はぼやいた──で腹にくくりつけている。さすがと言うべきか、この義弟は嬰児になっても眉ひとつ動かさない。泣きもせずただ瑞山の胸にもちもちの頬をくっつけ、全てを預けてうとうととするばかりだった。
    「……可愛いな」
    「もう百遍は聞いたき、別の話せんか?」
     実際には四十三度目の嘆息であったが、以蔵は心底うんざりした様子で口を歪めた。赤ん坊に良くないと煙草を没収されたせいか機嫌が悪い。しかしそう言われても、可愛いものは可愛いので仕方がない。生前、生憎と親になる機会はなかったが、こうまで愛おしいものだとは。
    「嗅ぐか? 頭から甘い匂いがする」
    「あんだけ飲みゃあミルクの匂いにもなるがよ……おいやめぇ、腿肉を揉みしだきなや、何じゃその手ェ」
    「できるだけスキンシップをするようにと……」
    「いや分かっちゅうけど、先生の手ェは何か……何か」
     せめて頬っぺたとかにせんかと強く要望され、むっちりしっとりの腿を離れてまんまるい頬をつまむ。肉という感じが全くしなくて、ふわふわのマシュマロでも詰まっていそうな頼りない感触だった。
    「うぶぅ」
    「喋った 以蔵、今『あにょ』と」
    「どう聞いても言うちょらん、大概にせえよ」
    「言ったよな、田中君。あにょだぞ〜」
     重たげな頭を上向けて、丸い目玉がじいっと瑞山の顔を見た。ぷくぷくの手が伸び上がって顎に触れる。ずっと握り締めていた手のひらからはほんのりすっぱい匂いがして、ちいさないのちの活発な新陳代謝を感じさせた。
    「あぅー」
     それからふんにゃりと、とろけるようなやわらかさで、赤ん坊の新兵衛は瑞山に微笑みかけた。腹いっぱいで欲求がすべて満たされた乳児のする、幸福そのものの表情だった。
    「…………………可愛いな…………」
    「まあ、ほうじゃが、これ新兵衛やき」
     うるうるの唇から、てろりとよだれの雫が垂れる。ハンカチを出して拭いてやると、興味を持ったのか右手でくしゃりと掴んだ。ぎゅっと握り込んで、引っ張っても返してくれない。こんなに小さなころから手の力が強かったのだ。ああ、紛れもなく彼だなあと思うと、ますますたまらない気持ちになってしまう。
    「軽く……頬っぺたを軽く口に入れるのは、スキンシップに入るかな」
    「それはやめちゃれ」
     入念なスキンシップの甲斐あって翌日にはあっけなく元の姿を取り戻した人斬り新兵衛であったが、カルデアではその後もしばらくの間、未練がましく義弟の頬を揉み頭皮を嗅ぐ武市瑞山の姿が見られたという────。

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    phnoch

    PROGRESS野球留学生たなかくんと、元プロ選手のタケチ監督と、新兵衛は俺が育てたと思っている地元リトルリーグ監督俺の幻覚です!!!!!https://x.com/phnoch/status/1835224802514399563
    夏を待っていましたこのサイレンの音を聞くと、夏が来たという感じがする。蝉の声でも花火の音でもない。野球人にとっての夏は、甲子園に始まり甲子園に終わる。テレビに群がる子供らのうち何人かは、数年以内にあの土を踏むのかもしれない。このサイレンの音を、全身の肌で聞くのかもしれない。
    「田中先輩どけおっと? 先発じゃなかと?」
    「こんた相手チームやっど。先輩は高知じゃ」
    練習を早々に切り上げたのは、もちろん甲子園中継に合わせてだ。集会所を借り切り、希望者はそこで見られるようにした。二日目、第二試合。この春に我がチームを巣立ったばかりの超大型選手、田中新兵衛が出場するはずだからだ。
    超大型、というのは比喩的な意味だけでなく、とにかく体が大きかった。小学生の頃から見てきたが、著しい成長期があったわけではなく最初からずっと同学年の子に比べひとまわりデカい体、強い力を持っていた。あまりに差がありすぎるので、物心ついた頃から遊びのドッヂボールでは利き手を封じられていたらしい。大きい子、特に急激に背が伸びた子は体のバランスを見失いやすいものだが、新兵衛は体幹が恐ろしく強く、ボディコントロールもしっかりしていた。
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    phnoch

    DONE小1しょたなかくん掌編集「たなかくんと!」より
    居候のイゾーが風邪をひき、たなかくんが拗ねる話です。

    ▼しょたなかくんシリーズの他の話はこちら▼
    https://galleria.emotionflow.com/113773/656724.html
    たなかくんとむやむやバカは風邪をひかないというのは、どうやら迷信だったらしい。さんざん雪遊びをした次の日、先生も新兵衛もぴんぴんしているのに、なぜか以蔵が熱を出した。
    「こたつで寝るのがやっぱり良くないんじゃないか」
    体温計を見ながら先生が言う。以蔵がカスカスの声でいや雪合戦のせいじゃろと口答えをする。こたつはベッドよりあったかいのに、どうして風邪をひくのだろう。よくわからないが、こたつが以蔵に占拠されなくなるなら良いことだ。
    「こたつなんぞで寝ちょっでだ。はよ自分の家に帰れ」
    「新兵衛、そういう言い方はやめなさい。病人だぞ」
    新兵衛はきゅっと身をすくめた。先生と同じことを言ったつもりだったのに、叱られてしまった。悪いのは以蔵のはずなのに。先生と以蔵はそのまま、ホケンショウはあるのかとか何とかついていけない話を始めてしまって、新兵衛は唇をへの字にしたままランドセルを掴んで外へ飛び出した。玄関がバタンと閉まった瞬間、黄色い帽子を忘れたことに気がついたけれど、取りに戻る気にはなれなかった。
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