約束/中編(フリスク視点)「あのね私」
─サンズともうひとつ、先に進みたい─
意を決してそう伝えようとした矢先、骨の手はフリスクの手から離れていった。
フリスクの心は折られてしまった。
これまでも何度も何度も。
「フリスク、なんか飲むか?」
いつも通りの感情の読めない笑顔がフリスクに向けられる。何事もなかったかのように。
先程フリスクは体を寄せて精一杯の気持ちをこめて手に触れた。フリスクにはサンズの気持ちはさっぱり分からないが、サンズにはフリスクの気持ちが手に取るように分かるはずだ。それなのに、その手は離れていった。
下を向いたまま頷いたフリスクを見て、サンズはキッチンへと入っていく。
サンズは自分を求めてはいない。
いつだって望むのはフリスクで、サンズはそれに答えてくれる。ただ、それだけ。
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