夜が明けるまで「はっ...あ、ぁ...」
荒い呼吸、滴る汗。
顔に張り付いた髪が不快で不快で、だが今はそれに気を回している余裕はない。身を抱いても抑えられないほどの震え——ルークは、悪夢を見て飛び起きたのだ。
ルーク達は今まで、常人であればきっと一度も関わらないような地獄を幾度となく味わって来た。理不尽に耐えて、耐えて乗り越えて。理不尽に対して抑えきれない怒りを抱いていたルークだったが、最近はもう、怒りすら断端と湧かなくなってきている。
だが、理不尽に対しての諦観が生まれるのと心の傷が癒えるかは別だ。これまでの地獄は、ルークの精神性を築くと同時に、こうしてルークの心を貪っている。
——特に、アッシュ関連のトラウマは顕著だった。
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