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    #毎月25日はK暁デー
    6月【星に願いを】 【湿度】 【冷房】
    短いですがいい感じにまとまったので

    ##K暁

    ベッドサイドにある直方体のデジタル時計を勘で手を伸ばして掴み、引き寄せる。自動で点灯するライトが当たらないように角度を意識して棒の並びを認識しようと目を凝らした。時間はどうでもいい。どうせ何時でも後は満足するまで寝るだけだし、それができるほど明日の予定は二人とも空だ。
    六月とは思えない気温と六月らしい湿度。全く地球温暖化など叫ばれ過ぎて枯れ果てて久しいが一声あげたくなるのも理解はできる。それよりももう一度手を伸ばしてリモコンに手を伸ばしてしまうのが人の性だが。
    除湿か冷房か迷って後者にする。ラジオか何かで冷房の方が結局除湿効果があるとか言っていた気がする。とにかく太ってもいないが小柄でもない成人男性二人が余すことなく密着している現状は接触冷感素材の寝具を引っ張り出してもないよりマシ程度の効果しかもたらさない。
    電気を消費することで冷却された風が届いたのか己にへばりついた体がもぞりと動く。声をかけるほどでもないと素肌を撫でてやればそのまま穏やかな寝息が耳に届いた。それが生を実感させて心から安堵する。幸せというのが正しいだろう。生きていることが幸せとはとんだ悟りだ。
    風を受けてカーテンがはためく。雪崩れ込んだので閉め方が甘かった。けれども今更直しにもいけない。今ここで起こすくらいなら数時間後に差し込む朝日を目覚ましにしたほうがマシだろう。
    今は隙間から夜空が見える。とはいえ日本の首都東京だ、星空ではなく一晩中輝くネオンの光しか見えない。もうすぐ七夕だと言っていたのを思い出す。有名な七夕祭りには行けそうにないが、二人でささやかに季節限定の品をつまみに恋人たちの逢瀬に乾杯することくらいはできるだろう。
    今年も商店街でささやかなものから世界規模までの願いをしたためられた短冊たちがどこからか調達したそこそこの竹を彩るのだろう。少なくともその内の二枚はこうして叶えられている。鼻歌を嗜みそうになって咄嗟に息を止める。
    未だ眠りの深い恋人は夢の銀河を漂っているのだろう。天の川は温度も湿度も低くエアコンは不要そうで羨ましい限りだ。こんな実りのない空想に耽るとはどうやら己にも眠気の波が戻ってきたようだ。とりとめのない思考に話し相手が欲しいと思いながら寝る態勢に戻る。
    今願うのなら夢の中でも彼と同じ場所にいられることを、だろうか。二心同体を求める本能はこの先も一生消えることはなく、一生満たされないのだろう。それでもいいと思っていた。離れることに比べれば苦難の内にも入らない。
    「おやすみ」
    快適な空間の中で彼の平和を願うばかりだ。
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    subaccount3210

    DONE #毎月25日はK暁デー
    【ジューンブライド】【ボーナス】【願い事】

    ※純度100%けあきです!!!
    ※ナチュラルに全員生きています
    白いタキシード姿の若い男が赤い絨毯に片膝をつき恭しく目の前の人の左手を掬い上げる。
    「僕と結婚してください」
    普段は柔和な印象を受ける目は真剣な色で己の指先を見つめている。シンプルだが決して安物ではないプラチナリングはステンドグラスから差す陽を受け一段と光輝いて見える。それがゆっくりと慎重に左手薬指に納められる。サイズもピッタリだ。秘かに安堵する息を飲み込んでセットした髪が崩れぬよう気を遣いながら愛する人の顔を見上げる。
    指輪と同じように陽光を背に受け輝くその人はしっかりとした声で応えた。
    「いや、何でオレがプロポーズされる側なんだよ」

    このチャペルはとある観光地のホテルに併設されたもので大々的に結婚式をするよりもブライドフォトを撮る場所である。勿論ここでプロポーズをする恋人たちもいて、ホテルスタッフは翌年の予約を楽しみにしていたのだが数ヵ月前から『このチャペルでプロポーズすると不幸が起こる』という噂がまことしやかに囁かれるようになった。『このチャペルでプロポーズすると破局する』という噂ならデートスポットでよくある嫌なタイプの通過儀礼のようなものではね除けようと思うのだが『不幸が起こる』という文言が気にかかった。しかも実際に『事故に合った』『病気が見つかった』といった実例も挙がるのだから噂は信憑性を増してしまい終いには『あのチャペルにはプロポーズして結婚間近で死んだ霊がいる』とインターネットに書き込みがされた。
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    takeke_919

    DONE #毎月25日はK暁デー
    素敵タグにギリギリ間に合いました💦
    お題は「おはよう」
    Kは成仏したのではなく、暁の中で眠りに付いたという説を添えて。
    毛色の違う話が書きたいなぁと思い至ったまでは良いものの、毎度のことながらお題に添えているかは迷走してます🤣
    目醒めの言の葉 東京の街を覆っていた濃く暗い霧は晴れ、東の空からは眩い光を放つ日輪が顔を覗かせている。

     幾重にも連立する朱鳥居を潜り、石燈籠の淡く揺らめく灯りに照らされた石階段を登る暁人の胸中には全てを終わらせた事による達成感と、追い求めた者を失ってしまった喪失感。そして、自身の中に宿る男への寂寥感が入り混じっていた。男の悲願は達成され、その魂が刻一刻と眠りに就こうとしているのを肌身に感じる。

     本当に独りぼっちになってしまう。

     そうは思うものの、妹に、両親に誓った。泣いても、みっともなくても生きていくのだと。次に会うのは、最後の最後まで生き抜いた、その後なのだと。

     一歩一歩、階段を登る最中にKKから彼の妻子に向けての言伝を預かった。『最後まで、あきらめずに生き抜いた』と、そう語られた言葉は、彼の想いが沢山、たくさん詰まった大切なモノだ。何があっても絶対に伝えなくてはと、しかと心に刻み込んだ。
    5216

    りんご

    DONEK暁デー 『いたずら』 そして表題に戻る系。
    そんなつもりなかった二人がその気になる話です。
    せめて飴くらいは手元に置いとけばよかった!「ご飯? お風呂? それとも僕?」
    「オマエ」

    というわけでこの話は終わった。
    「そんな訳ないでしょ! 何考えてんだよKK!!」
    「いや何なんだよオマエ」
    「こっちが何なんだよ だよ!」
    「なんなんなんだよだよだよ」
    「あああ呪文にするなよ…」
    状況を整理するにしても、普通の生活を詳細に描写する程度のことしかできない。今回の依頼はKK単独の小さなものだったので、資料をまとめることで一日を過ごした暁人は、せめて疲れて帰ってくる相棒のためにと彼の自宅にてご飯や風呂の準備をしていた。合鍵を使って堂々と入り、勝手知ったる様子で冷蔵庫を確認し、風呂の栓を抜いておく。暁人があれこれ始めたことで多少は解消されたが、KKのズボラさは相変わらずだ。買うものの算段を付けて、流しに残っていた食器を洗い、一度外へ出る。必要なものを買い足して再び家へ戻り、手早く下ごしらえを始める。疲れている時はとにかく手軽さ手早さを重視したほうがいいだろう。あの面倒くさがりは手の込んだものを食べるくらいなら、そのまま寝かねない。炊飯器のスイッチを押して、玉ねぎと牛肉を切って皿に移しておく。冷蔵庫へいったん入れて、掃除するべく浴室へ向かった。そこからは家主の帰宅まで散らかったものを拾っておく作業だった。
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