昨年の四騎士イベントで大活躍した名探偵トーさん、じゃない、アグ兄の従者のトーが今一番気になってるキャラクターだったり。
今年のバレンタイン絶対贈るからな!!!
原作はウェールズ三兄弟の異母兄弟のトー卿からきてると思われるので、お空の世界でも三兄弟の異母兄弟であってほしい、などと妄想が楽しい。
以下妄想。
父王はヘルツェロイデ王妃一筋だけど、外交とか諸々の関係でどこぞの女性と寝てでもお仕事の延長みたいなもんだったから愛情ゼロ、女性とその後援者から子供(トー)出来たって言われても無関係(無視)を貫く。んで、母親達から役立たず認定されて殺されそうになった赤ちゃんのトーを哀れに思った関係者の一人がこっそり助けて母親達と縁切って自分の子供として育てた。
けど育つうちに何も特別な教育してない田舎者とは思えない察しの良さとか綺麗な所作とか明晰な頭脳とかに頭抱える養父。
目立つ駄目、絶対(御落胤とかバレたら多方向から殺される案件)。
なので、トーがある程度大きくなってから事実を教えて「絶対にウェールズ王室に近づくな」と切羽詰まって言う養父に賢いトー少年は「わかりました、お父さん」と返事。
「あとそれから、出来るだけ伏し目でいなさい」
「?」
「お前の目の色、ウェールズ王室独特の色なんだよ(涙)」
「努力します(まじ顔)」
なんて伏し目がちの理由を考えてみたり。
トーの伏し目はあれでしょ、奥義でカッって開くやつでしょFGOのトリスタン的な!!!←溢れる実装への期待
それはともかくそこからまじで努力するトー少年→青年に成長。
その後、フェイトストーリー通りにアグロヴァルに引き抜かれて仕えることに。
この時点ではアグロヴァルはトーのことを『商人には勿体無い逸材』くらいの意識で引き抜いたけど、仕事任せていくうちにその才覚がただ者じゃないと思って裏で諸々探らせて、父王の元側付きあたりから聞き出してチベスナ顔になるのかも。
とはいえ、トーに直接問いただしたりはせず、重用しつつじっくり長い目でみてそう。
本人に自覚があるかどうかまではわからない上、有能な人材はウェールズ貴重。アグ兄、負けた悔しさとは別に、ジークフリートやランスロットやヴェインやガウェインみたいな英雄人材めっっっちゃ羨ましがってそう。
あと、トーの立場なら殺ろうと思えばいつでも殺れるし←
そんなこんなしてるうちに、すっかりトーを重用して(もうこのまま重臣として召し抱えようか)と思ってたところに【本物の偽物御落胤(?)】が出て来て一騒ぎあったら楽しい。
※※※
先代ウェールズ当主ガハムレットの隠し子を自称する男の勅使がウェールズ王城を訪れたと聞いたとき、トーはアグロヴァルに頼まれた茶を入れて執務室に持っていく最中であった。
驚きのあまり茶器を取り落としそうになったのをなんとか防ぎ、トーにそのことを耳打ちした侍従に聞き返すと、なんとも突っ込みどころ満載な答えが帰ってきた。
「ガハムレット様がご健在の頃、外遊で訪れた某国の貴族の娘と一晩の関係を持ちその結果生まれた御落胤だとか…異母兄にあたるアグロヴァル様宛に勅使を立てて生得の権利を主張している、と」
「……その勅使が来たのはいつの話ですか」
「昨日のことらしく。面会したのは夕方頃と。トー、なにかアグロヴァル様から聞いていないか?なにかかわったこととか」
「ありません、まったくの初耳です。そも流言飛語の類でしょう。アグロヴァル様が取り合うとはおもえませんね」
内心の動揺を押し隠し、さらりと答えるトーに侍従は安心したようだった。
そのままさもなにもありませんでしたという態度でトーはアグロヴァルの執務室にノックと共に入室した。
「アグロヴァル様、失礼します。お茶をお持ち…しました」
トーの言葉の後半が不自然に途切れた。
なにせアグロヴァルの執務机の上に山程の紙が散乱していたからだ。
几帳面で慎重なアグロヴァルは決して普段の執務ではこんなことはしない。
それに、遠目にみても紙質が古そうであちこち黄ばんだりよれたりしているその紙束をつまらなさそうにみるアグロヴァルの姿にトーが驚きのあまり固まっても致し方なかっただろう。
「トーか。こちらへ寄れ。ああ、茶はその辺に適当に置いておけ」
「は、…お恐れながらアグロヴァル様。これは何事でしょうか」
「父の、先代ウェールズ当主の外遊記録だ。御落胤とやらの件、お前の耳にも入っているだろう?」
「はい。ですが、まさかアグロヴァル様が御自らこのような書類確認をなさることはないのでは…あのような矛盾と不合理ばかりの流言飛語にお時間を割かずとも…」
「ほぉ?では聞くが、此度の件、お前はどう思う?我が許す、忌憚なく述べてみよ」
探るようなものではなく、面白そうな声色で問うアグロヴァルに対し、トーは頭の中をフル回転しながら答えた。
「このようなことをアグロヴァル様の前で申し上げるのは気が引けるのですが…端的に気持ち悪い、と」
「気持ち悪い?」
アグロヴァルは意外そうにトーの顔をみた。
トーはそんなアグロヴァルに気づかず、フル回転させた頭脳で描き出した内容を説明した。
「そも、なぜ今のタイミングなのかがわかりません。生得の権利を主張するならば、どうしても情勢が揺れる政権交代のタイミング、つまりアグロヴァル様への王位継承の時のほうが余程良いでしょう。混乱を最小限に抑えるために妥協する余地が生まれる可能性がなくはない…晩年のガハムレット様は市井の私に聞こえてくるほど"不安定"でいらっしゃいました。そこからの若きアグロヴァル様への王位継承はそれは大変だったとか…金や権利をむしり取るならその時期につけこんだほうが余程良い。その頃に声を上げず、アグロヴァル様の政治改革により国政が安定し、ガウェイン様やランスロット様、他の皆様の助力もあり三国同盟も強固なもの、アグロヴァル様個人へのウェールズ国民の支持は厚い。これほど安定しているときに御落胤などと主張して権利とやらをむしりとろうとするなど、反感を買うばかりで同情の余地もない。
にもかかわらず、御落胤だ権利だと騒ぎ立てている輩の真意がどこにあるのかわからないのです。だからこそ"気持ち悪い"、と」
「…なるほど。一理ある。だが、お前は本当に面白い男だな」
「…は、私はなにか粗相を…?」
「そうではない。他の者達は一言目から"本物か偽物か"ばかりだ。気持ち悪いなどという一言がでるのは後にも先にもお前くらいだろうよ」
「あっ、いえ…!偽物なのは間違いないかと!」
最初の一言を間違えていた!と内心冷や汗を流しかながらトーは断言する。そんなトーを面白そうに見ながら、アグロヴァルは話を続けた。
「よい、わかっている。それで、トー、お前はその気持ち悪さをどこに帰結する。よもや気持ち悪いの感想程度で思考停止するつもりはあるまい?」
「……そう、ですね。あえて今このときのリスクを取ってまで詐称する意味…それこそ身を持ち崩して食いつめるほど生活に追い詰められている?違う、そんな輩が勅使なんて送る余裕はない。でもそれを考えはじめるととにかく現在のウェールズ王室が鉄壁すぎるし騒げば騒ぐほどいらぬ注目を集めるばかりで…注目、そうか!」
「アグロヴァル様、ここ数ヶ月でなにか内政問題は起きてはいませんでしょうか。アグロヴァル様が直接御仲裁する権利を持ち、かつ無視できない程度であり、さらに仲裁を」
「ふむ?先にその真意を聞こう」
「先王の御落胤というウェールズ王室として無視できない問題を作り出し、そこにアグロヴァル様をはじめ政治の中心人物の耳目を集めることが目的ではないかと。その隙に何かウェールズ王室に介入してほしくない全く別の問題を片付けようとする目論見ではないでしょうか。おそらくウェールズにとってよろしくない方向に片付ける必要があるからこそ」
「ほう!成る程、その考え方は一理ある」
「……わかりました、白状いたします。…ただ、どうかアグロヴァル様には御内密に…」
「約束する!」
「はい!」
「先代ウェールズ領主ガハムレッド様の御落胤、確かに"存在"はしていました。しかし、すでに亡くなっています。"私と両親が看取りました"」
「は?看取った…?」
「はい。私の両親が御落胤、王子を内密の筋からお預かりし養育していたのです。私は、彼の乳兄弟でした」
「誕生そのものを隠された王子である彼を隠して養育するには苦労が多く…商売を理由に国中を転々としていました。しかし、十年前の疫病の流行時に運悪く彼は病にかかり…医者を呼ぶことも間に合わず亡くなりました。両親、いえ、母の落胆は筆舌に尽くしがたく…がっくりきてしまって…後を追うようになくなりました。あとから聞いた話では、王子を預かったのは当時ガハムレッド様の付き人の一人だった母だったようです。父はそんな母にしか興味がない人だったので…二人を亡くしてからは商売勘定に逃避するようになりました。おかげで、金銭的には豊かになりましたし、アグロヴァル様にお声をかけていただけたのですから、感謝していますが」
「子供の頃、少なからず私は母を恨みました。いつもいつも実の息子である私を差し置いて王子にばかり良いものを与え愛情の全てを注いでいた母を。でも、今なら、アグロヴァル様にお仕えする喜びを得た今なら、なぜ母があれほど王子の死に悲観し脱力したかわかります。高貴な方にお仕えする、この喜びは理屈ではないんです。」
「………なにか、証拠になるようなものはないか」
「証拠、ですか」
「亡くなったお前の乳兄弟が父の、先代国王ガハムレッドの息子だと証明する証が必要だ」
「……短刀が」
「短刀?」
「赤ん坊だった彼と共に預かった精緻な細工の短刀がありました。母は確か、御佩刀(みかはし)、と呼んでいました。母と彼の葬式を引き受けてくださったゼエン教の教会に奉納したのですが…教会に残っていれば」
「悲劇の御落胤、か。なる程美談だ。トーと両親にはウェールズ王室より特別に礼をすべきだろう…だが、『出来すぎ』でもある」
「兄上は、トーをお疑いですか?」
「なんだ、そう聞こえたか?」
「いえ…俺がトーに肩入れしているのかもしれません」
「ふ、なに、我とて同じよ。あれを見いだし重用したのは他ならぬ我だ」
「パーシヴァル、お前は我よりも広く世間というものを見てきたはずだ。その経験のもとに答えよ。母親が腹を痛めて産んだ実の子供を差し置いて他人の子供を溺愛することがあると思うか?」
「…は?」
「確かに乳母という職は古来よりある。乳母と子供の絆の強さを描いた話は良きしろあしきにしろ枚挙に暇がない。が、それは衣食住となにより安全と報酬が約束された上でなりたつものだ。正嫡の男児がすでに三人存在し万が一にも跡継ぎにはなりえず、それどころか国王本人が認知すらしない私生児を我が子を差し置いてなによりも優先し溺愛する乳母がいるとはにわかには信じがたい」
「ない、とは言いきれないでしょうが…俺も同意見です。しかしそうなると、やはりトーの話には何か嘘が…?」
「いいや、あれは嘘をつく男ではない。いや、我に対し嘘をつく男ではない。となれば、話は事実であろう。ただ、真実ではない可能性はある」
「?」
「パーシヴァル、我はな、トーの話は"逆"ではないか、と疑っている」
「母親とは強いものよ…そして子供のためならば何でも出来る。母上のようにな」
「かつての父の付き人を呼び出し締め上げて吐かせた。トーの母親を乳母に選んだのは、実母と顔や髪色が似かよっていたからだと。間接的にトーとその御落胤も似かよったところがあったのだろうーーー入れ換えても誰も気がつかない程に、な」