愛のような甘さ(Δジョンドラ) 憤懣やるかたない様子でドラルクさまが隊室に戻って来た。威圧するような鋭い足音に、ふんふんと荒い鼻息。普段の高貴さは迷子のようだ。
「誰か地獄のようなコーヒーを淹れてくれたまえ!」
投げやりな、おおよそ人に物を頼む言い方ではなかったが、そんな傍若無人な要望にも、はいはい、と涼しい顔で応じるのは希美さん。流石、慣れたものだ。
ドラルクさまはカッカッカッ、と無闇に靴を鳴らして自席に辿り着くと、ひっくり返りそうな勢いで乱暴に着席した。普段なら絶対やらないのに、ノースディンが絡むといつもこうだ。こないだも怒りに任せて椅子ごと倒れ、痛みと羞恥に悶えたばかりだというのに、懲りない人。でもそんなところも愛おしい。
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