患者ki×精神科医41♀なkiis患者ki×精神科医41♀なkiis
ある日、母親から性的虐待を受けて保護されたkiを41は受け持つことになる。本当は男性医師が受け持ちだったが、手が付けられないと匙を投げられ、新人の41と御鉢が回ってきた。kiは何も話そうとせず、案の定一筋縄ではいかなかったが41が根気よく関わったことで、心を開いてく。
「先生」と呼んでいたkiだが、だんだんと関係を築き上げてくに連れ「41」と呼び捨てにするようになり、笑顔も見られるようになった。
「先生、でしょ」と軽く注意するが、良いだろそれくらいとむくれるkiは年相応で可愛かった。
「特別に41も俺の事ミヒャって呼んでいいぞ」
「えーいーよ」
断れば、kiは更に拗ねた様な態度を取る。それが可愛くてしょうがなくて「ミヒャ」と呼んでやれば、彼はパッと花が咲いた様に笑った
彼は母親からの愛情に飢えていたのだろう。よく41に「よしよしして」と強請った。中学生になるkiだが幼い子供がえりがよく見られた。
「頭撫でて」「ぎゅーってして」
kiの要望一つ一つに41は丁寧に答えた。そうすればkiが嬉しそうにするから喜ぶから。無表情で、生い立ちにより他人からの愛情を拒む子供に安心感を与えたかった。だが新人が故に患者と医療者との線引きが上手く出来ていないとある事件をkiが起こしたことで、ようやく気付かされる。
自分の考えの甘さを。
「これで分かっただろ、あまり患者にのめり込み過ぎるなよ」
そう言ったのは41の上級医だった。
この医者は散々41に警告してくれた、あまり関係を深めすぎてはいけない、適度な距離を保てと。だが、41はkiが心を開いてくれたことが嬉しくてその警告を忘れてしまっていた。
それがいけなかったのだろう。
kiが他の患者に暴力を奮ったという報告が入ったのだ。
話を聞けばkiはこう言った。
「だって、こいつが41の悪口を言ったから。」
だから殴ったと。それの何が悪いのか?41、俺は良い事をしただろう?
「ね、よしよしして。」寧ろご褒美をくれというばかりの態度に41は頭が痛くなった。でも、まだ修正がきく。彼にやって良い事悪い事を教えなければいけない。珍しくkiを叱る41を彼は訳が分からないとばかりの態度だったが最終的には「俺が間違ってた、ごめんなさい」と謝った。この子は元々賢い、分かってくれたと安心した。
しかし再び事は起きる。
「先生、ki君がまた!」と看護師が飛び込んできたのだ。
「なんでそんな…階段が突き落とすようなことしたんだ?下手したら死んでいたかもしれないだぞ。例え悪い事を言われても手を出しちゃいけないって言っただろう。」
「だって、あいつ。俺の41なのに、とろうした。」
「は?」
「41に笑いかけて貰うのも、頭撫でてもらうのも全部俺だけでいい」
だから、邪魔なあいつを消そうと思った。
ニコニコ、ニコニコ彼は笑う。
ああ、この子には普通の倫理観伝わらないのだ。
何故自分なら更生できるとそう思ったのだろう。顔を青白くする41を見て、上級医は担当変更を名乗り出た。
暫く、彼から離れた方が良い。お互いのためにもと。
それに41は従った。
彼の目にうつるところにいるのは返って刺激になるとのことで、41は暫く他の病院にバイトをする等して離れることになった。しかし、ある日41は元の病院に呼び戻される。久しぶりに見た上級医はやつれていた。
話を聴くと、kiはあれから相当に暴れたらしい。担当が代わったといえば彼は怒りを表し「41をだせ、41じゃなきゃ嫌だ」と怒鳴り散らしたのだという。それから、それは出来ないと言えば診察室を飛び出したかと思えば「41!41はどこだ!!41!どこ!返事をしろ!」とひたすらに大声をだし探し回ったのだ。看護師が止めようとしたが、それを乱暴に振り切り暴れ回る。挙句の果て駆けつけた上級医が再度話をしようとするが、聞く耳を持たずに、瞳を充血させながら「お前のせいだ!」「お前が41と俺を引き離したんだろう!!」「俺の41を隠すな!どこにやったんだ!?」「返せ!!返せ41を!!」と飛びかかり胸ぐらを掴みあげたのだという。それに収まらず暴行を働こうとする彼を医療者全員で押さえつけ、隔離室に何とか押し込んだ。
「彼、最後までずっと先生のこと呼んでて…」
「今でもずっと部屋の隅で先生の名前をブツブツ呼んでるんですよ」
「酷い時は部屋をぐるぐる回って先生を探してるみたいなんです。41、41!って叫び声も凄くて…」
看護師はコソコソと言う。「あんな綺麗だったのに、可哀想にねえ」と。
監視カメラごし。彼は部屋の隅で蹲っている。サラサラだった髪は艶を失い、ボサボサで。食事もろくに取らないらしい彼は見るからにやせ細っていた。
俺のせいで。
話を一緒にしていた上級医は「担当は続けて俺が持つから。くれぐれも関わろうとするなよ」
「今の彼は何をするか分からないんだから」
そう言って41に釘を刺した。
41は監視カメラの様子を瞬きを忘れて見ていたが、ふとカメラ越しに彼と目があった気がした。