kiis♀41♀と付き合うまで色んな女性と関係を持っていたki。今は41一筋であるが、喧嘩をする度にkiは「もう別れるぞ」とよく言う。41と恋人になってからも、kiの隣を狙い擦り寄ってくる女性は後を絶たない。そんは選り取りみどり状態なkiを知っているから、41♀はそれを言われると「やだ、別れるなんて言うなよ…」と涙目でしおらしくなる。そんな自分を求めて気をひこうとする恋人が愛おしくて堪らなくてkiは喧嘩をする度に別れるが口癖になっていく。ある日、再び言い合いになった二人、いつも通りkiが例のセリフを言う前に41が「大嫌い!もうkiなんて知らない、別れる!!」
と吐き捨て揃いの指輪を机に叩きつける。その剣幕に驚き、kiは言われた事が分からなかった。机の上に淋しげに輝る揃いの指輪と、荷物を纏め出ていこうとする41を見てやっと我に返る。玄関に向かう41をドタドタとおいかけ腕を遠慮がちにひく。
「41、別れるなんて冗談だよな」
「いいのか、俺と別れても。もう一緒にいられないんだぞ?」
「41待って、待ってくれ」
「もう一度話会おう」
「無視するな」
「41、41!!」
引き止める声を無視して41はそのままドアへと手を伸ばすため、kiは慌ててその手を跳ね除けて扉の前に立ち通せんぼをする。
「なあどけよ」
「やだ」
「なんで邪魔するの」
「だって41が出てこうとするからだろ!別れるって言うから!!」
kiは涙を溜めながら息荒く叫ぶ姿は
母親にわがまま言い、泣き喚く幼い子供のようにも見える。
41は困ったようにため息をついて、駄々を捏ねる大きな男の頬に流れる涙を優しく拭う。
顔を見れば41は微笑んでいた。kiは許されたと思った。
「よいっ…」
「ふざけるな」
「お前いつも言ってたよな、俺と別れるって」
「いつでも他に女は山ほどいるんだろ」
「良かったな、やっと俺と別れられるんだから」
「他の俺よりもっと素敵な人と幸せになりなよ、ミヒャ」
「さよならだよ」
「ぁ…カヒュッ…」
知らずとして喉が悲鳴をあげる。絶望が目の前を暗くして、呼吸の仕方が急に分からなくなった。くるしい。
顔を真っ青にし、過呼吸になりながらkiは目の前の女に縋り、懇願する。
「ゃだ、ごめんなさい。ごめんなさい。おれがわるいからあやまるからおれをすてないで」
「ゆるして」
「おねがい41、おねがいだからおれのそばにいて、すてないでくれ」
「おれには41しかいないから」
「もうわかれるなんていわないから」
「41だけなんだ、41しかもういっしょう愛せないだ」
だから、41も俺を愛してすてないでずっと傍にいると言って!!!
みっともなく泣き喚き、もう恥も外聞もなかった。無様に足元に縋り付くその姿は今までkiが掃いて捨ててきた女のようでもあったが、まさか自分がその立場に置かれるとは41に会うまで否この瞬間に至るまでkiは思ってもいなかっただろう。すてないで、おれをひとりにしないでと額を足にすり付ければ涙と鼻水でグチャグチャになった顔に再び暖かい大好きな手が添えられる。
ビクリと恐る恐る顔を上げると、41は慈愛に満ちた瞳でkiを見つめていた。
「そんなに泣くなよ、せっかくの綺麗な顔が台無しだろ」
先程とは違い少し乱暴に、汚れるのを厭わず41は袖でkiの涙を拭っていく。
「41ごめんなさい」
「うん、俺もごめんな」
「別れない?」
「別れないよ」
「本当に?ずっと一緒だぞ」
「そうだね、ミヒャももうこれから別れるなんて言わないよな?」
「いわない!」
「ほんと?」
「ほんとうだ!!」
41、41と未だにグズグズな顔を41の肩に押し付けて自分より小さな身体に縋り、抱きしめる。41は鼻水をすんすんと啜り微かに震え続ける背中に手を回すと、赤子のようになってしまったkiをポンポンとあやす様に背を撫でてやる。その時の41♀は慈愛に満ちた瞳をしていたが、それと同時に口元はニンマリとほくそ笑んでいた。
ki…女選り取りみどりモテ男。41には自分しかいないと優越感に浸っていたがこの度41に捨てられそうになって過呼吸になった男。この後、41に捨てられる恐怖に取り憑かれ、少しでも離れると子供のように不安げに41を探し回るようになる
41♀…kiの言動に限界がきていた。思ったより物事がうまく進んだ