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    炎さんハピバ2023!!!(遅刻)お揃いのマグカップが大きさの違う手にそれぞれ収まってる光景、いいよね…いい…
    リボン何をどうされたんでしょうね…

    #炎博
    yanbo

    リボンの有効活用方法について「エンカク! サルカズは誕生日に年の数だけ角にリボン巻いてお祝いするって本当!?」
    「本当なわけがあるか」
     色とりどりのリボンを握りしめて帰宅した上司兼同居人兼恋人に、エンカクは重い溜息を吐いた。


    「今日はさ、うちのオフィスでクリスマス会やったんだよ。といってもティータイムにプレゼント交換しただけなんだけど。予算だけあらかじめ決めておいてくじ引きを作ってね」
    「お前の部署は暇なのか?」
    「年末で月末なこの時期が暇なはずないだろう。こんな楽しい催しを企画でもしない限りやってられないんだよ」
     私が用意したのはサーミでも人気のハンドクリームで、と聞いてもいないことをべらべら喋るその手には、いまだに色彩豊かなリボンの数々が握られたままである。できるだけそれらを視界に入れぬよう視線をそらしながら、エンカクは電気ポットのスイッチを入れた。
    「コーヒーでいいな」
    「あ、それならこっち使って。私がもらったプレゼントが、インスタントコーヒーの詰め合わせだったから」
     ちょっとお高いやつ、と続けられた企業名には聞き覚えがなかったものの、この男が言うのならば良い品であるのだろう。湯を沸かしている間に男の分のマグカップを戸棚から取り出していると、横から伸びたか細い腕がその隣の色違いのカップを手に取った。
    「君も飲むだろう?」
     当然のように問われた内容に、エンカクは一瞬頷くのが遅れた。荒野であればこの間に三度は首が飛んでいただろう。この細い指にサルカズの喉を絞め殺すほどの握力はなくとも、血色の悪い指先一つでおのれは死ぬのだということをエンカクは何よりも理解していた。
    「そんなに不機嫌そうな顔しなくてもいいじゃないか。せっかくの君の誕生日なのに」
    「祝えと言った記憶はない」
    「じゃあ祝われたことはおぼえてくれてるんだ。嬉しいな」
     どだい、この男に口で勝てるはずがないのだ。にこにこと差し出されたスティック状の包装には、豆の産地らしい見知らぬ土地の名前が印刷されていた。
    「まったく、リボンの件ではすっかり騙されてしまった。道理で『ちゃんと写真撮ってきて下さいね』なんて念押しされるはずだよ」
    「その出来のいい頭は偽物になったのか? 用済みなら挿げ替えてやろうか」
    「いたたたた、もげる! まだ用事があるからこの首はこのままにしてほしいな!」
     わっしわっしと掻き混ぜてやった髪には、細かい銀紙の屑がついたままだった。一体どういう方法でプレゼント開封をすればこんな惨状になるというのか、もたもたとインスタントコーヒーの開け口と格闘する男を見かねて、エンカクはその手からパッケージを取り上げてやった。
    「その『どこからでも開けられます』って絶対嘘だよね……」
    「どのメーカーもお前ほどのひ弱な握力は想定していないだけだろう」
     やや歪になった開け口からカップへと中身を注いでいる横で、酷い! だの私の彼氏かっこいい! だのと聞こえてきた気がするが、エンカクはいつものことなので無視を決め込む。そうして暴れるのに飽きた男がエンカクの背中に抱き着いてきたのをそのままにさせながら、沸騰した湯をカップへと注いだ。
    「わ、ほんとにいい香りだ」
    「そうか」
     嗅覚は鋭いというのにどうして舌はああも鈍いのか、エンカクは二人分のカップを持って、背中に軽すぎる体重の男を張り付けたまま入り口のミニキッチンから部屋の中へと歩き出す。ベッドの上の読みかけの雑誌を横のデスクへと放り、活字に反応した小さな頭を軽く押さえてから、コーヒーの入ったカップを渡してやった。
    「こぼすなよ」
    「あれ、今月号?」
    「飲み終わってからだ。春先のことを忘れたのか」
    「ちぇー」
     夜中に半裸でシーツを洗濯しているとどんな目で見られるのかを思い知らされた事件についてはエンカクだって忘れたかったが、あの時は男の火傷を治療することのほうが最優先であったのだ。それはそれとして腹は立つので、エンカクは頑として男と雑誌の間を遮り続けた。口を付けたコーヒーは、いつも買ってくるものと大した違いはわからなかったが、隣の男が機嫌よくエンカクにもたれながらカップを傾けるのは、まあ悪くはない気分だった。
    「嘘だったのはショックだけどさ、エンカクこのリボン似合うと思うんだけど」
    「いい加減諦めろ」
     蒸し返された話題に、コーヒーを噴きかけた。黒いコートのポケットから再び顔をのぞかせた色とりどりのリボンにとうとう頭痛さえ感じながら、エンカクは男の妄言を秒で切り捨てる。
    「角も髪も黒だからさ、こういう鮮やかな色も映えるよね」
    「どさくさに紛れようとしても無駄だ」
     これ以上の惨禍を避けるために男の指からリボンを取り上げれば、男は悔しそうな顔でぶつぶつと恨み言をつぶやき続けた。
    「さっさと飲んでしまえ、寝るぞ」
    「私だってさ、せっかくの誕生日なんだから誕生日らしいことしてみたいんだよ。まあプレゼントはちゃんと準備してるけど、こう、恋人らしい雰囲気とかさあ」
    「そもそもリボンはプレゼントに巻くものだろう」
    「そうだね、これじゃああべこべだ。君が祝われる側なのにプレゼントになってしまう」
    「……」
    「なんだい、その悪い顔は。ええっと今日は朝から小児病棟の特別訪問があったから疲れててね」
    「そうか」
    「ええと、どうして私の手からリボンを取るのかな、そして長さを確かめて何をしたいのかな?」
    「飲み終わったな? マグは机の上に置いておけ」
    「質問に答えてもらってないんだけど!?」
    「せっかくだから有効活用してやる。ああ、写真も撮るんだったか? なあ、祝ってくれるんだろう? ドクター」

     それがどう有効活用されたのかについては、エンカクのプライベート端末に鍵付きで保管されている写真のみが知るのであった。
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    DOODLE岳博ギャグ、自分のもちもちロングぬいぐるみに嫉妬する重岳さんの話。博さんずっと寝てます。絶対もちもちロングおにい抱き枕寝心地最高なんだよな…
    180センチのライバル 重岳は破顔した。必ず、この眼前の愛おしいつがいを抱きしめてやらねばならぬと決意した。重岳は人という生き物が好きだ。重岳は武人である。拳を鍛え、千年もの年月を人の中で過ごしてきた。けれども、おのれのつがいが重岳を模したもちもちロングぬいぐるみを抱きかかえて、すやすやと寝台の上で丸くなっていることについては人一倍に敏感であった。


    「失礼、ドクターはどちらに」
    「ドクターでしたら、仮眠をとると私室へ」
     あと一時間くらいでお戻りになると思いますが、と教えてくれた事務オペレーターに礼を伝え、重岳はくるりと踵を返した。向かう先はもちろん、先ほど教えてもらった通り、ドクターの私室である。
     この一か月ばかり、重岳とドクターはすれ違いの生活が続いていた。ドクターが出張から戻ってきたかと思えば重岳が艦外訓練へと発ち、短い訓練ののちに帰艦すれば今度はドクターが緊急の呼び出しですでに艦を離れた後という始末で、顔を見ることはおろか声を聞くことすら難しかったここ最近の状況に、流石の重岳であっても堪えるものがあったのだ。いや流石のなどと見栄を張ったところで虚しいだけだろう、なにせ二人は恋仲になってまだ幾ばくも無い、出来立てほやほやのカップルであったので。
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    DOODLE岳博、いちゃいちゃギャグ。寒い日に一緒に寝る姿勢の話。岳さんが拗ねてるのは半分本気で半分はやりとりを楽しんでいる。恋に浮かれている長命種かわいいね!うちの博さんは岳さんの例の顔に弱い。
    「貴公もまた……」
     などと重岳に例の表情で言われて動揺しない人間はまずいないだろう。たとえそれが、冬になって寒くなってきたから寝ているときに尻尾を抱きしめてくれないと拗ねているだけであったとしても。


     彼と私が寝台をともにし始めてから季節が三つほど巡った。彼と初めて枕を交わしたのはまだ春の雷光が尾を引く暗い夜のことで、翌朝いつものように鍛錬に向かおうとする背中に赤い跡を見つけ慌てたことをまだおぼえている。それからほどなくして私の部屋には彼のための夜着がまず置かれ、タオルに歯ブラシにひとつまたひとつと互いの部屋に私物が増えていき、そして重ねる肌にじっとりと汗がにじむような暑さをおぼえる頃には、私たちはすっかりとひとかたまりになって眠るようになったのだった。彼の鱗に覆われた尾にまだ情欲の残る肌を押し当てるとひんやりと優しく熱を奪ってくれて、それがたいそう心地よかったものだからついついあの大きな尾を抱き寄せて眠る癖がついてしまった。ロドスの居住区画は空調完備ではあるが、荒野の暑さ寒さというのは容易にこの陸上艦の鋼鉄の壁を貫通してくる。ようやく一の月が眠そうに頭をもたげ、月見に程よい高さにのぼるようになってきた頃、私は名残惜しくもあのすばらしいひんやりと涼しげな尾を手放して使い古した毛布を手繰り寄せることにしたのだった。だが。
    2030

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    DOODLEおじ炎博、あんまり美味しくなかったのど飴の話。おじ炎さんが考えすぎている。庭園メンバーいつまでも仲良しだととても嬉しい。
    おじ炎さん一人称にした結果、おじ炎さんの認識がだいぶずれてるのでスズちゃんたちがめちゃ小さかったことになってたり鉱石病があんまり脅威じゃなかったりしてるのに博さんの体調にはすこぶる敏感で、自分で書いてて愛じゃん…て勝手にニコニコしていた。
    「だから置いていっていいよって言ったのに」
     何のことを言われているのかと尋ねられたところで、俺に返せるのは無言だけである。だが目の前の人間はといえばその無言からですら情報を引き出しあっさりと真相へとたどり着いてしまうほどの脳みその持ち主であるため、つまるところこれはただの意味のない抵抗でしかないのだった。

     鉱石病というのはそれなりに厄介な病気で、時間をかけて徐々に内臓の機能を奪っていく。そのスピードや広がりやすい箇所には個人差が大きいとされているが、やはり感染した元凶である部分、俺に取っては左肩から喉元にかけての不調が最近とみに目立つようになってきた。そもそもこんな年齢まで生きるつもりもなかったのだと言えば、目の前の妙なところで繊細な男はわかりやすく気落ちして、挙句の果てに食事量まで減らして回りまわって俺が怒られる羽目になるため口にするつもりはない。たかがサルカズ傭兵というそこらじゅうで使い捨てにされる命ひとつにまで心を割く余裕など持ち合わせてもいないくせに、固く握り込まれるその小さな拳をそこまで悪いものとは思わなくなったのは、まさしく病状の悪化のせいに違いない。決してこの男に感化されたわけではない。決して。
    1956

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    DOODLE転生現パロ記憶あり。博が黒猫で花屋の炎さんに飼われている。博猫さんは毛づくろいが下手すぎてもしゃもしゃにされたのを自力で戻せないので、原因にブラッシングを要求しました
    ねことのせいかつ いくら朝から店を閉めているとはいえ、生花という生き物相手の職業であるためやらなければならない作業は多い。ましてや今回の臨時休業の理由は台風、取引先各所への連絡から店舗周辺の点検と補強までひと通り終わらせたときには、すでに窓の外にはどんよりとした黒い雲が広がり始めていた。


    「ドクター?」
     店の奥にある居住スペースの扉を開けても、いつものようにのたのたと走り来る小さな姿はない。しん、とした家の気配に嫌な予感を募らせたエンカクがやや乱暴な足取りでリビングへと駆け込んだとして、一体誰が笑うというのだろう。なにせあのちっぽけな黒猫はその運動神経の悪さに反して脱走だけは得手ときている。植物や薬剤をかじらないだけの聡明さはあるというのに、頑として水仕事で荒れた手のひらで撫でられねば一歩も動かないと主張する小さな生き物に、どれだけエンカクが手を焼いたことか。だがエンカクの心配をよそに、雨戸を閉めた仄暗い部屋の中で黒猫はあっさりと見つかった。キッチンの出窓、はめ殺しの小さな窓には雨戸もカーテンもないため、今にも落ちてきそうなほどの暗雲がよく見て取れた。自身が抱いているものを安堵とは決して認めないものの、やや歩調を緩めたエンカクは窓の外をじっと見つめたまま動かない黒猫の背にそっと立つ。
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