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    Sco博、博さんから吸いかけの煙草をもらった話。間接キッス!!!!!!!!私もモブ新兵になって密かなSco博を目撃してえーーーー

    #Sco博

    cigarette break 天幕からふらりと現れたその姿に、今日はずいぶんとくたびれているなとScoutは火を付けたばかりの煙草をくわえながらゆるりと片手をあげた。


    「火は要るか?」
    「あー……すまん、たすかる」
     ふらふらと覚束ない足取りで天幕から出て来るなり、Scoutの隣へと吸い込まれるように収まった男は、よれた煙草をくわえたはいいものの火種をどこかへやってしまったらしい。バタバタと死んだ目であちらこちらのポケットを叩いていたのを流石に見かねてScoutはライターを差し出してやったが、礼とともにしみじみと煙を吸い込んで天を仰ぐその目元には、くっきりと黒い隈が刻まれていた。
    「信じられるか? この私が、本日最初の一本なんだ。この私がだぞ」
    「そりゃあ、また」
     顔を隠した異族として、隊への合流当初はずいぶんな扱いをされていた彼ではあるが、その手腕が広まるにつれて今や朝から晩まで引っ張りだこの多忙ぶりだ。などと言っているScoutだって当初はなぜ殿下がこのような弱々しい異族をと反発したひとりではあるのだが、今となっては見ての通りいそいそとライターの火を差し出すまでになっているのだから、まったく人生とは何が起こるかわからないものである。べったりと疲労の張り付く表情はカズデルの冬空よりも暗く、フードの陰になった眼差しは鈍色の雲よりもなお重い。それでも、もはや自分たちは――否、自分はこの人を手放せないのだ。その頭脳を、その言葉をひとたび受け入れた時から、Scoutにとっての生というものが始まったのだから。
     などとその影の深く落ちる横顔を眺めている間に気が付けばずいぶんと時間がたってしまっていたらしい。Scoutは短くなった吸殻を踏みつぶしながら、もう一本分くらいは彼の傍にいても許されるだろうかとあれこれ言い訳を捻り出そうとしたのだが、その偵察兵の優れた聴覚に、こちらへと駆け込んでくる忙しない足音が届いた。
    「ドクター! こちらにおられましたか」
    「要件を」
     静かに落ちたよく響く声に、まだ頬に幼さの残る新兵はびしりと背を伸ばす。気持ちはわからないでもない。戦場の、あれだけの喧騒の中でさえ過たず届く彼の声は、どんな矢よりも速くこちらの心臓を射抜くのだ。何度、その囁きに命を救われたかわからない。いつだか酒の席で聞いた、願わくばあの声の中で命果てたいという熱に浮かされた誰かの告白を一笑に付すことを、Scoutはいまだに出来ないでいる。
     かわいそうなほど震える声で告げられた殿下の名前に、彼はフードの下から一瞬だけ天を見上げると、深く煙草の煙を吐き出した。
    「わかった。彼女はまだ指揮所に?」
    「は、はい。すぐに呼んでくるようにと」
     彼の煙草はまだ半分以上が残っていた。煙草一本分の休息すら許されない多忙さに同情し、今度美味い酒が手に入ったら真っ先に声をかけようと決意する。下心? もちろんあるに決まっている。だからその不純な動機を誤魔化すためにも彼の肩を軽く叩こうと手を伸ばしたところ、くるりとこちらを振り返られたから、Scoutは邪心がバレてしまったのかと一瞬ヒヤリとしたのだ。だが彼の行動はいつものようにこちらの想像など遥かに超えたもので。
    「Scout、もったいないからもらってくれ」
    「は? ――――ッ!?」
     躊躇なくこちらの口に押し込まれた吸い口に、冗談抜きに呼吸が止まった。待て、今何をされた。彼が吸っていた煙草を……? これは夢か? でなければどこかにLogosのやつがいて幻術のアーツを仕掛けてほくそ笑んでいるんじゃないのか。そうでもなければこの現実はあまりにも俺にとって都合が良すぎる。しかし目の前の若人もぽかんと驚いた表情でこちらを見ているので夢でも幻術でもなく確固たる現実なのだろう。若者の目は完全に泳いでいたが、ドクターはといえばまったく気にも留めずにすでに背を向けて歩き始めている。声をかける暇もなかったが、あったとしてそもそも何と言えばいいんだ。間接キスに感謝を? あんたの唾液は甘く感じるな? 言えるか!!!!
     いまだに動揺の表情を隠さずに彼とこちらの間でチラチラとさまよわせている若者にしっしっと手を振って彼を追いかけるように促す。あの人はああ見えて足が速いんだ、さっさとその背を守れるという名誉に与ってこい。視線に込めた圧が効いたのか、挙動不審な若者は耳を赤くしたまま慌てて彼のほうへと駆け寄っていった。その先のフードの背が見えなくなるまで見送ってから、ようやくScoutはずるずるとその場にしゃがみこむ。もはや先ほどまで吸っていたはずの自分の煙草の味すらわからなくなってしまった。しばらくは誰も来るなよと信じてもいない神に祈りながら、Scoutはもう一度だけ、口の中のやや短くなった煙草をかみしめる。
    「これ、吸い終わりたくねぇな……」
     誰にも聞かせられない言葉とともに、煙は曇天の空に昇って行った。
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    DOODLE岳博ギャグ、自分のもちもちロングぬいぐるみに嫉妬する重岳さんの話。博さんずっと寝てます。絶対もちもちロングおにい抱き枕寝心地最高なんだよな…
    180センチのライバル 重岳は破顔した。必ず、この眼前の愛おしいつがいを抱きしめてやらねばならぬと決意した。重岳は人という生き物が好きだ。重岳は武人である。拳を鍛え、千年もの年月を人の中で過ごしてきた。けれども、おのれのつがいが重岳を模したもちもちロングぬいぐるみを抱きかかえて、すやすやと寝台の上で丸くなっていることについては人一倍に敏感であった。


    「失礼、ドクターはどちらに」
    「ドクターでしたら、仮眠をとると私室へ」
     あと一時間くらいでお戻りになると思いますが、と教えてくれた事務オペレーターに礼を伝え、重岳はくるりと踵を返した。向かう先はもちろん、先ほど教えてもらった通り、ドクターの私室である。
     この一か月ばかり、重岳とドクターはすれ違いの生活が続いていた。ドクターが出張から戻ってきたかと思えば重岳が艦外訓練へと発ち、短い訓練ののちに帰艦すれば今度はドクターが緊急の呼び出しですでに艦を離れた後という始末で、顔を見ることはおろか声を聞くことすら難しかったここ最近の状況に、流石の重岳であっても堪えるものがあったのだ。いや流石のなどと見栄を張ったところで虚しいだけだろう、なにせ二人は恋仲になってまだ幾ばくも無い、出来立てほやほやのカップルであったので。
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    DOODLE岳博、いちゃいちゃギャグ。寒い日に一緒に寝る姿勢の話。岳さんが拗ねてるのは半分本気で半分はやりとりを楽しんでいる。恋に浮かれている長命種かわいいね!うちの博さんは岳さんの例の顔に弱い。
    「貴公もまた……」
     などと重岳に例の表情で言われて動揺しない人間はまずいないだろう。たとえそれが、冬になって寒くなってきたから寝ているときに尻尾を抱きしめてくれないと拗ねているだけであったとしても。


     彼と私が寝台をともにし始めてから季節が三つほど巡った。彼と初めて枕を交わしたのはまだ春の雷光が尾を引く暗い夜のことで、翌朝いつものように鍛錬に向かおうとする背中に赤い跡を見つけ慌てたことをまだおぼえている。それからほどなくして私の部屋には彼のための夜着がまず置かれ、タオルに歯ブラシにひとつまたひとつと互いの部屋に私物が増えていき、そして重ねる肌にじっとりと汗がにじむような暑さをおぼえる頃には、私たちはすっかりとひとかたまりになって眠るようになったのだった。彼の鱗に覆われた尾にまだ情欲の残る肌を押し当てるとひんやりと優しく熱を奪ってくれて、それがたいそう心地よかったものだからついついあの大きな尾を抱き寄せて眠る癖がついてしまった。ロドスの居住区画は空調完備ではあるが、荒野の暑さ寒さというのは容易にこの陸上艦の鋼鉄の壁を貫通してくる。ようやく一の月が眠そうに頭をもたげ、月見に程よい高さにのぼるようになってきた頃、私は名残惜しくもあのすばらしいひんやりと涼しげな尾を手放して使い古した毛布を手繰り寄せることにしたのだった。だが。
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    DOODLESco博。料理上手だった人の話。実際そこまで上手というよりは器用にいろいろ作れる人、くらいだったら萌える。
    スプーンひとさじの幸せ「どうして君が作るとこんなに美味しいんだろう」
     同じ缶詰なのに、とぼやくドクターの手元で、年季の入ったステンレスのカップがからりと音を立てた。


     それがほんの短い期間であったとしても、荒野で生き延びるというのは苦難に満ちた行為である。たとえ十分な準備があったとしても、目の前に突如として天災が現れてしまえば何もかもが終わりであるし、そうでなくとも哀れな旅人の身包みを剥ごうと手ぐすね引いている連中など掃いて捨てるほどうろついている。だから、この頑強とは到底いえない元学者である男が荒野を渡るすべを知っているのは非常に奇妙なことだとScoutには思えたのだった。
     荒野に点在する小さな集落への交渉役にみずから名乗りを上げたのはドクターだった。古い知り合いがいるから、というのがその主たる理由で、あまり警戒されたくないのだという言葉に従い護衛は最小限、率いる小隊は近くの渓谷に待機してもらいドクターとScoutだけが数日かけて谷の底の集落へと向かっている。進むスピードこそゆるやかであったものの、ドクターの足取りはしっかりしたもので、むしろ斥候であるScoutの足によくついてきているものだと感心するほどだった。
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    DOODLESco博、成り行きで衆人環視の中でキスする話。
    「…というわけで私と彼の初キスはコーヒーとドーナツの味だったんだ」「キャー!!その話詳しく!!」(背後で盛大にビールを噴くSc)
    キスの日記念日「本日は『キスの日』ですので、スタッフの前でキスをしていただきますとペア入場券が半額になりまーす」
    「は?」
     びしりと固まったScoutの視界の端で、形の良い頭がなるほど、と小さく頷いたのが見えた。


     どうしてそんな事態に陥っているのかと呆れられたところでScoutに言えることはひとつしかない。ドクターに聞いてくれ、である。次の会合場所の下見のためにドクターとScoutがクルビアのとある移動都市に到着したのは昨日のことだった。しかし入管でのトラブルのためにドクターが持ち前の頭脳と弁舌と少しどころではない金銭を消費した結果、『些細な記載ミス』は無事に何事もなく解決し、しかし二人が街に放り出されたのは既にたっぷりと日も暮れた頃だったのである。ずいぶんと軽くなってしまった懐を抱えながらもかろうじて取り戻せた荷物を抱えて宿へとたどり着けたときには、あのドクターですら口を開くのも億劫といった始末であったので、定時連絡だけを済ませてこの日は二人とも早々にベッドの住人となることにした。そして翌朝、道端のスタンドで買ったドーナツとコーヒーを片手に地図を広げて予定を組み直していたドクターは、食べきれなかったドーナツの半分を(この時点でScoutは二つ目をすっかり平らげ終えていたというのに!)Scoutのスカーフに覆われていない口元に押し付けながら、まずはあの展望台に行こうと言ってこの都市のどこからでも見える高い塔を指さしたのであった。
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    DOODLEハロウィンにちょっと不安になる炎博の話
    ハッピーハロウィン! たとえばこの人よりもやや低い体温だとか、動作の鈍い手足だとか、何が彼の不安を煽るのかはわからないのだけれど、時おり彼の手のひらが強く私の腕に食い込むことがある。
    「エンカク」
     本人に指摘すれば途端に怒り出すだろうけれど、こういう時の彼の眼差しはひどく不安に揺れている。誰かが手の届かないところにいってしまうことなど日常茶飯事で、私たちもお互い何度も諦めかけた夜を過ごしてきた。そのためか、はたまたそれですらなのか、夜闇に輝く炎色の眼差しは常よりもいっとう輝きを深くし、捕らえられた私もろとも彼自身すら焼き尽くしてしまいそうなほどだった。
     彼の唇は真一文字に引き結ばれ、ほころぶ様子は微塵もない。けれども私は横紙破りの大好きな卑怯卑劣な指揮官であったので、掴まれた腕をそのままにちょっとだけ背伸びをする。薄いくちびるは私よりも体温が低かった。ひょっとしたらただ私が勝手に興奮していただけなのかもしれないけれど、少なくともその一点においては彼のほうが向こう側に一歩近かったので、どちらかといえば慌てなければならないのは私のほうなのだった。
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