踊ってばかりの国 舞台に立ちながら、いつだって客席でエンドロールの続きを待っている。そんな気分だ。下手に付け足せば台無しになりかねないほど綺麗なラストシーン。だけどその先を見たがるやつは多かったし、誰よりもブラッドリー・ベイン自身がその続編を望んでいる。若いインタビュアーの期待に満ちた眼差しに苦笑し、微かな傷心を悟られないよういつも通りの台詞を口にするのだった。
「悪いな」
脚を組み直した直後、鮮やかな記憶が脳裏を過ぎった。通り雨のように唐突で、傘を広げる間もない。日常の切れ端がぱらぱらと降り注いで頬を濡らす。優しい感触だが少し冷たい。何をしていてもしていなくても、思いがけないタイミングで甦ってはブラッドリーを縛る。
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