そばに 最近、オロルンの姿を見ていない。
あいつのことだ、どうせミツムシの巣でも覗いてて手が離せないんだろう。……いや、野菜の世話かもしれない。大根だの、豆だの。
イファは診察が終わり、診療所の窓際で書類を片付けながら、頭上でせっせと医療器具を運ぶ相棒を見上げた。
「なあ、カクーク。最近、オロルン見てないけど、アイツ大丈夫かな……」
「しんぱいだ、きょうだい」
カクークは、小さく首を傾げて鳴いた。ふわふわした羽毛を揺らしながら、イファの頭に乗っかる。
「だよな……アイツ、ちょっと放っておくと、すぐ塞ぎ込むし……」
その時、くるくると回りながら入ってきたのは、花びらのような羽を持った式神だった。見慣れた模様──これはシトラリの使いだ。
1969