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    まどろみ

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    まどろみ

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    七灰。七→灰♀のバレンタイン話。ホワイトデーの前日譚。

    #七灰
    #七灰♀

    バレンタインデー七灰2024「明日?チョコレートがもらえる日だよね!」
    二月十三日の放課後。「明日は何の日か知ってるか?」という質問を同級生にすると上記の答えが返って来た。これを言ったのが先輩の五条や夏油ならまだわかる。最悪自分が言ってもおかしくはない。だがこの発言は唯一の同級生であり女子の灰原のものだから、素直に疑問を口にした。
    「…あげる日ではなく?」
    「あげる?」
    「…」
    「あっ!」
    指摘に対してよくわからないという顔をした灰原だったが、沈黙を返されて答えに辿り着いたようだ。
    「そっか、バレンタインって女の子があげる日だよね」
    「いや、絶対あげなきゃというわけではないだろうが…」
    しょんぼりする彼女に慌てて訂正を入れる。傷つけたかったわけではない。ただ、健全な男子学生として、好きな人からチョコレートをもらえないかと淡い期待をしただけだった。
    「イベント事が好きなきみが準備をしている様子もないからまさかと思ったが…」
    ハロウィンやクリスマスにはしゃいでた姿を思い出す。バレンタインなんて、好きな相手がいなくても女性同士や自分用に買うこともあると聞くのに、なぜ自分が用意するという発想がなかったのだろうか?
    「中学まで女子校だったから」
    「それなら尚更、友達と交換したりしなかったのか?」
    「それが…僕、女子の割に体格良いでしょ?だから男の子ポジションというか、バレンタインはみんながチョコレートをくれて、ホワイトデーにお返しするっていうのが定番だったんだ」
    確かに、灰原は七海と並んでもあまり差が無いくらい体格が良い。しかも性格も男前で体術も強いから、本人が女であることを忘れているのか心配になることがある。「暑い」と言いながら腹が見えるほどシャツを捲ったり、「休日だから」と露出の多い服で待ち合わせ場所に来たり、心臓が止まるかと思ったことは一度や二度ではない。だが、今までの言動の原因が先程の話でわかった気がした。
    「イベント事に興味のない七海でも覚えてるくらいだから、やっぱり夏油さんや五条さんに用意した方がいいよね!?」
    「少なくとも、甘党の五条さんは楽しみにしてるだろうな」
    自分にだけ欲しいという権利はない、今はまだ。ただ、他の男に渡す物を用意するよう促すのも嫌だった。
    「今から予定はないな?」
    「うん。今日は任務もないし、あとは帰るだけだよ」
    「じゃあ」
    いつもの鞄を肩に掛け立ち上がった。
    「戦場に行くぞ」

    ***

    「これは、確かに戦場だね」
    電車に揺られてやって来たのは都内某所の百貨店。バレンタインの特設会場には人が溢れかえっていた。
    「え?チョコレートってこんなに高いの!?」
    いくら任務で稼げると言っても未成年、陳列された商品の値段に驚くのは年相応の姿だった。
    「百貨店だからな」
    「どうしよう、足りるかな」
    財布を確認しようとする手を止める。
    「いや、ここは全部私が持つ。だから灰原には品定めを頼みたい」
    「え?でも七海ももらう側なんじゃないの?」
    本来ならそうである。しかし今回は『灰原が他の男にチョコレートを渡すのを阻止する』という目的があるのでその限りではなかった。
    「いいか、バレンタインデーに渡した物の三倍返しをするのがホワイトデーだ」
    「そ、そうかな?」
    「そうだ、で、五条さんや夏油さんにチョコをあげたら?」
    「…三倍で返ってくる!」
    「そういうことだ」
    すごーい!と感嘆する灰原の様子に上手く誤魔化せたようだと胸を撫で下ろす。
    「『私と灰原から』感謝の気持ちということで家入さんも含めて三人分買って帰ろう」
    「うん!」
    先輩たちの好みは任せて!と張り切る灰原に片手を差し出した。
    「迷うといけないから、手を繋いでもいいか」
    これくらいの下心は許してほしい。
    「うん」
    握った手を引かれ、二人で戦場へ駆け出した。

    ***

    バレンタイン当日。
    「喜んでもらえてよかった!」
    「そうだな」
    五条にはとびきり甘い物を、夏油には一口サイズの食べやすい物を、家入には酒入りの物を渡すと三者三様に喜んでくれた。
    「はい、これ」
    「え?」
    「灰原に、バレンタイン」
    灰原に品定めを任せたのは、彼女自身の興味を引く物を見つけるため。宇宙がモチーフの色とりどりのチョコレートに目を奪われていたのをすかさず購入していた。
    「僕、何も用意してないよ?」
    「いいんだ、ただ」
    内緒話をするように耳元で囁く。
    「ホワイトデー、期待している」
    一拍おいて、え!?と驚く灰原に、声をあげて笑った。

    ***

    後日、困り果てた顔の灰原に「お返し何が欲しい?」と聞かれ頭を悩ませることになるのはまた別の話。

    ***

    灰原(女子)
    ・女子校の王子様(概念)
    ・制服は上着→通常、スカート→カスタム(キュロット)、足元→黒タイツ
    ・ヘ◯リア方式で強さが女>男なので(男が弱いわけではない)産土神事件も生き残る
    ・七海のことは一緒に過ごしていくうちにかっこいいなってなって秋くらいに好きだなってなる
    ・バレンタインは素で忘れていた

    七海(灰原女子の場合)
    ・男子校の姫(概念)
    ・初めての共同任務で逞しい灰原を見て「好き!」ってなる
    ・おかん気質。灰原が天然(だと思っている)だから心配
    ・バレンタイン期待してたけど切り替えも早かった

    七灰♀は灰原の男前度が上がって七海の乙女度が上がって欲しい。七灰です




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