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    まどろみ

    @mdrmnmr00

    皆様の七灰作品が見たいので書いてます

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    まどろみ

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    七灰。転生if。双方記憶あり。クレープを紙ごと食べる七の話。

    #七灰

    口は禍の元前世の恋人と再会できるならどんな状況でもいい。会えることの方が重要だから。そう思ってはいたが、これはあんまりではないか?

    ***

    学校の最寄り沿線の某商店街。
    七海は今世の同級生(前世の後輩)たちに連れられてクレープを食べにやってきた。人混みの中を歩き続けると虎杖がある一点を指差して七海の腕を引いた。
    「あった!あの店だよナナミン!」
    クレープなんてどれも同じじゃ…と考えていた七海の思考を見抜いての行動だろう。よっぽど楽しみにしていたのだろう。釘崎や伏黒も心なしか浮き足立っていた。
    「…人気店なんですね」
    店先には老若男女が列を作っている。
    「ボケっとしてないで私たちも並ぶわよ!」
    釘崎に促され行列の最後尾に向かう。前のグループからメニューを渡されたその時だった。
    先頭列の横、受取口でクレープを受け取る高校生集団。隣の飲食スペースへ向かう彼らの内の一人が灰原だった。正面、横、後ろと確認したから間違いない。今までずっと会いたくて、探し続けていた彼だった。近隣の高校の制服を着た彼は、同じ制服の集団とクレープを齧りながら会話を楽しんでいる。

    お互い連れがいる状態でどうやって声をかけようか、と考えていたところで事件は起こった。灰原が正面立つ同級生の口元にクレープを差し出したのだ。わかりやすく言えば「あーん」というやつだ。彼に手づから食べさせてもらったことなんて七海ですら数回しかない。しかも相手の男の方が背が高いせいで上目遣いになっている。その表情を観れるのは自分だけだと思ってたのに。頭に血が上った七海は列から離れて無言で彼らに近づく。後ろで虎杖たちが何か言っていたが聞こえなかったことにした。怒りの形相で近づく七海に周りはざわつくが当の本人たちは気づく様子はない。腕を伸ばし灰原の手をクレープごと掴み自分の口元に持っていく。「え?」と言う声と共に視線がこちらを向いた。今まで会った前世の知人は皆昔のことを覚えていたが彼は違うのだろうか?と一瞬だけためらったが杞憂だった。彼は持ち前の大きな目を驚きで見開いているがその表情に嫌悪感はない。しかも口角は徐々に上がっているから間違いない、彼も前世を覚えている。

    「な、七海、久しぶり…?」
    前世のことを覚えていてかつ先ほどのことをやらかしたのなら尚更許すわけにはいかない。
    「うわぁ!?」
    彼の持っているクレープをそのまま齧り付く。チョコバナナだったようだ。想像以上に甘ったるい。だがそれを見る灰原が羞恥で頬を染めるのが可愛くてそのまま食べ続ける。若干抵抗されたが握力に関してはこちらに分配が上がった。包装紙も少し食べてしまったが完食し、そのまま手を引き腕の中へ閉じ込める。
    「灰原、会いたかった。…それはそれとして、私以外にあーんをするとはいい度胸じゃないか」
    「え?ダメだった?」
    「ダメだ。妹さん相手でもダメだと伝えていただろう」
    「…確かに」
    よかった。覚えてなかったら口ごと食べるところだった。
    「で、でも、別に食べさせようとしたのに変な意味はないからね!?」
    「君に下心がなくても相手がそうだとは限らないだろ」
    キッと灰原の正面にいた男子を睨みつけると「ないないないないない!」と全力で首を横に振ってきた。
    「ほら!ね?だから離して!」
    腰に回した手を振り解こうと掴まれる。だが残念、今世は同級生と一緒に鍛えているおかげか君より力は強いようだ。
    「あ、あれ?」
    「そんなに嫌か?」
    「嫌じゃないけど…その…」
    頭を軽くかしげる姿は可愛らしいが、この動作をする時は空気を読まない発言をすることが多い。身構えていると、恐ろしいことを口にしだした。
    「僕たち、まだ付き合ってるんだ?」

    ***

    「ごめんごめんごめん僕が悪かったからここではやめて明日学校行けなくなるからやめて!七海!」


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    nononoko1996666

    MOURNING呪詛師灰原②(前の話とはまったく続いていません)。
    自分に出来ることを精一杯やっていたら、呪詛師になってしまった灰原。呪術師の七海は灰原くんの邪魔ばかりしてる。
    明るい灰原くんはいません。酷い灰原くんはいます。
    あと激重七海はいます(七海視点)。

    別に灰原くんに呪詛師が似合うとかじゃなくて、完全な私の趣味です!書きたいとこだけ!
    暗転「………ぁ」

    「灰原っ!!!」

    必死に腕を伸ばすも届かず、名前を呼ぶことしか出来なかった。
    一瞬にして鉄骨が崩れ落ち、コンクリートの破片が辺り一面に飛び散る。
    灰原と依頼主が中に取り残されてしまい、焦りながら私が鉈を必死に振りかざしている間に、もう一人の依頼主が居なくなっていた事に気付けなかった。

    「どうか、生きていてくれ…」


    ✳✳✳


    縋るような灰原の泣き顔を、初めて見た。
    見開いた瞳からは止めどなく涙が流れ、腕に抱えている依頼主を見詰めている。

    「ねぇ、…あの当主って言ってた人、この子置いて逃げたんだ。…ねぇ、どうしてかな?」

    「考えるな灰原、こっちへ来い…早く」

    今回は嵌められたのだ。私達はあの当主という男に、2級に依頼する任務にしてはおかしいと感じていたというのに。
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