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    まどろみ

    @mdrmnmr00

    皆様の七灰作品が見たいので書いてます

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    まどろみ

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    七灰。記憶なし×記憶あり。罰ゲームからはじまる恋の続き。転生if、捏造注意。甘め

    #七灰

    蜂蜜の恋君の瞳をはじめて見た時、『彼を二度と手放すな』とナニカが私に囁いてきた。

    食事を摂るのは嫌いではない。だが最近は食べることよりもっと楽しみなことがある。
    「…ねえ、いつも聞いてるけど、お昼食べないの?」
    「いつも言ってるが、早弁してる」
    「僕もしてるんだけどなあ」
    この時間になるとお腹空くんだよね、とおにぎりを頬張るのは可愛い恋人。腰に回す腕に力を入れ直して彼を見上げる。
    「健康的な証拠じゃないか。それに、こうして雄の食べてる姿が見れるから私は嬉しい」
    「…ねえ、やっぱり下ろしてくれない?」
    ぽんぽんと膝を叩かれるがその手をつかみ指を絡ませることで拒否を示す。クラスが違う私にとって、昼休みに君を横抱きに膝に乗せていられるこの時間は貴重なのだ。誰にも邪魔させない。たとえ君でも。
    「…そんなに嫌か?」
    自分の美醜を気にしたことはないが、君を懐柔しようとする時に表情筋を動かすと効果覿面なのを私は知っている。
    「嫌じゃないよ!」
    こうして抱き返してくれるので、ありがたく享受するまでがワンセットになっている。

    「そういうことは家でやれ」
    他の生徒から野次を飛ばされるのにも慣れたものだ。
    「残念、誘っても家に来てくれないんですよ」
    クラスが違うのだから放課後くらい一緒に過ごしたい。なのに、帰りに家に誘っても君はそそくさと帰ってしまう。
    「行けばいいじゃん」
    「いや…」
    友人に話を振られた君は両手で顔を隠す。
    「だって、今でも精一杯なのに、家で二人きりになったら心臓持ちそうにない」
    なんて可愛いことを言うのだろう。近日中に絶対連れ込もうと決意を新たにした。

    ***

    何かが起こるのではないかと思った入学式。だが現実は甘くなく平凡な日々が過ぎていく。そんな退屈な毎日に、君は颯爽と現れた。

    『七海』と名前を呼ばれた瞬間胸が高鳴った。その後『好き』という単語が飛び出し驚きで息が止まった。しかしすぐに持ち直す。『好きだった』と言ったのだ、彼は。好き"だった"。過去形だ。じゃあ今は?今の私は好きではないのか?その上『幸せになって』と言うや否や立ち去ろうとするものだから思わず腕を掴んで引き留める。恋人、いや友達からでもなんて情けないことを口にしながら。そんな私も君に囚われる時が来た。腕を振り解かれた衝撃でその姿を見てしまったのだ。健康優良児な体躯、絹糸の様な黒髪に全てを見通しそうな大きな瞳。まるで太陽だと思うと同時に私の中のナニカが『彼を二度と手放すな』と囁いてきた。

    ***

    君は与えることは無意識にやるのに、与えられることには慣れていないのだろう。だから、私からの愛情表現はできるだけわかりやすくして、あふれんばかりの愛を注いであげる。今までの言動や何かと比べて戸惑う姿から、告白に至った「好きな七海」が『私』ではないのはわかっている。それの正体は私に囁いてくるナニカか、それとも全く別存在かはわからない。だがそんなことはどうでもいい。要は今の私に惚れさせればいいのだ。
    他の何かに負ける気はない。私の雄への愛は本物だ。この蜂蜜より甘く粘着質なこの愛を受け入れて、飲み込んで。いつか私が好きだと言わせてみせるから。
    早く、私の愛に溺れて。

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