よいこのどむさぶ前回までのあらすじ
健全なDom/Sub生活を送っていた七灰が無事成人を迎えた。未成年フィルターが外れたので早速七海は灰原をプレイに誘った。
***
「誕生日おめでとうございました!というわけで灰原、早速今日のプレイをはじめるぞ!」
「よろしくお願いします!」
僕の誕生日の翌日、妙に張り切った七海とベッドの上で正座になって向かい合っていた。
「成人したからって何か変わるかな?」
「stripで服がダメにならない」
「それは助かる」
stripは七海が僕に使うコマンドの一つ。服が破れて四方八方に飛び散ってしまう単語。任務で無茶をしそうな僕を止めるために使われるが、その度に服を新調しなくてはならなくて大変だった。
「全裸は問題じゃないのか?」
「別に」
七海が嫌じゃなければ全裸だろうが内臓飛び出ようが動けるけどと言うとそれだけはやめてくださいと土下座をされる。八割本気だったけどやめておいた方が良さそうだ。
「成人したことで新しいプレイもできるようになったみたいだから試したい」
「わかった」
頷くと七海が僕の瞳をじっと見つめる。翡翠色の瞳に吸い寄せられながら七海の声に身を委ねた。
「では…strip」
いつもなら服が弾け飛ぶが今日は何も起こらない。すとりっぷ、ストリップ…?と意味を考えていると無意識にTシャツを脱いでいた。
「あれ?」
「…present」
プレゼント…と繰り返しながら綺麗にTシャツを畳んで七海に差し出す。受け取ってはくれたけど、その後のため息で僕は失敗してしまったのだとわかった。
「ごめん!言われた通りにできてないんだよね?」
これじゃSub失格だと狼狽えると七海の目が揺らぐ。
「いや、灰原のせいじゃない。プレイに応えてくれてありがとう」
ぎゅっと抱きしめられ頭を強く撫でられる。犬のようだと五条さんには笑われるけど、こうして力強く褒められるのは愛されてる感じがして僕は好きだった。
「…まあ、そのあたりの知識は追々つけていこうか」
「うん、がんばるね!」
わからないことだらけだけど、七海のsubとして立派になりたい。拳を握り締め天に向けると彼の顔が優しく緩んだ。