Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    setsuen98

    @setsuen98

    自己満作品の倉庫

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💛 💜 💙 🌷
    POIPOI 34

    setsuen98

    ☆quiet follow

    🌊🔮。
    酔っ払いの🌊を愛でる🌊🔮。

    #suuki

     「いますぐきて」のメッセージに、何事かと合鍵を使って彼の部屋に訪れた俺の目に飛び込んできたのは、机の上に並んだ空になったソジュのボトル。その隣にはショットグラスの他にビールやアイスティーが並び、色々な飲み方を試してあっという間にボトルを開けてしまったのだろうと推察できた。その光景に目を瞬かせていると、キッチンから氷の入ったグラスを片手にご機嫌で現れたスハに視線を移し、予想以上に酔った様子に珍しいな、と内心訝しむ。
    「浮奇〜!いらっしゃぁい、来てくれたの?うれしい〜」
     ふわふわとした口調と少し覚束無い足取りにハラハラしながら咄嗟に手を伸ばせば、満面の笑みを浮かべたスハが覆い被さるように抱きついてきて、その勢いに思わず半歩下がると肩に回された腕の力が強くなり捕らえるように抱え込まれてしまう。
    「…にげないで。離れようとしないでよ」
     少し幼く聞こえる甘えた声で告げられると何故か胸がきゅっと締め付けられ、アルコールで体温が上がった背中に腕を回し掌を弾ませ宥める。それだけで喉奥を震わせ笑う恋人についこちらの頬も緩み、嗜める声音まで少し甘さを含んだものになってしまうけれど、これはもう仕方がないと思う。
    「そうじゃなくて、ちょっとふらついただけ。ほら、危ないから座ろう?」
    「ん…浮奇も一緒?」
    「一緒に座るから、ちょっと離して?このままだと二人して転んじゃう」
     名残惜しそうにそろりと身体を離しながらも完全には腕を解かない様子に片眉を跳ね上げ、身を屈めて腕の間から身体を抜いてスハの背後に回る。そのまま軽い力で背中を押しながら少し先のソファへ向かい強制的に座らせてから、素直な良い子にはご褒美、と身を屈めて頬にキスをしてあげると、途端に嬉しそうににこにことするのがまた可愛くてたまらない。
    「うき、浮奇。ここ。私のおひざおいで」
     少し氷の溶けたグラスをテーブルに置いて、自身の太腿を何度も叩きながら辿々しい口調で招く可愛らしい恋人に逆らえるはずもなく、わざとため息をついて仕方ないな、とでもいう体を装って近付けば、俺が腰を下ろそうとするよりも早く腕を引かれとっさに目を閉じ身構えたけれど、大した衝撃もなくスハの太腿の上に迎えられてしまった。
     危ないことをするなと咎めようとした矢先、背中と膝裏に腕を通され、膝の上でお姫様抱っこをされるような体勢でぎゅうぎゅうと抱え込まれてしまい、満足そうに笑う姿にすっかり気が抜けてしまう。
    「スハがこんなに酔うなんて珍しいんじゃない?ずっと一人で呑んでたの?」
    「…一人だったよ。私は浮奇と違うから」
    「んー…?なぁに、それ」
    どこか拗ねたような声音で返された答えに首を捻り顔を覗き込もうとすれば、俺の首元に顔を埋めぐりぐりと額を押しつけ唸り声を上げられた。
    「…今日、カフェで一緒にいたのだれ」
    「カフェ?…今日は一人だったけど……あ、途中で少し昔の知り合いと話したけど、もしかして彼のこと言ってる?…ふふ、だったら勘違いだよ。彼はたまたま会ったから挨拶しただけだし、愛妻家だから」
    「……ほんと?」
     ようやく上がった顔を覗き込めば、僅かに目元が赤く火照っていて、泣いた後のようにも見える。違うとは分かっていながらもそっと指先で撫でて、眦が湿っていない事を確かめると 自然と安堵のため息が漏れた。
    「俺がスハ以外の男の人とデートしてたんじゃないかって疑って、それでヤケ酒してたの?」
    「……だってぇ、」
    「でもスハも色んな人と仲良くしてるよね。スハはそんなつもりないのかもしれないけど、俺だって妬いてるんだよ?」
    「…んへ、」
    「何笑ってるのかなぁ、この子は」
     目元をなぞる俺の手を取って緩んだ口元を隠すように掌に口付けるスハの鼻を軽く摘むと、「ん"にゃー」と鳴きながらも嬉しそうな様子が隠し切れていなくて、咎めるようにもう一度きゅっと指先に力を込めたことで眉根が寄せられるのを見て溜飲を下げ、お仕置きをする手を離す。
    「DVだぁ。浮奇の暴力彼氏ー、ちゅーしてくれないと訴えてやるー」
    「ん、ふふ。それは困るかも。許して、honey?」
    「どうしようかなぁ…いっぱいちゅーして、私のどんなところが好きか10個教えてくれたら許してあげても良いかもね?」
     下手に出た俺に対して、さらにエスカレートして返ってきた要求に声を上げて笑えば、すっかり機嫌を直した有頂天なスハに再び抱きしめられてしまう。
     この僅かな間に呆気なく存在を忘れ去られたテーブルの上のお酒達を一瞥し、スハの顎に手を掛け引き寄せると少しカサついた唇を啄んで「たった10個で満足なの?」と囁き、下唇を甘噛みした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏💘😍👏💒💖❤👏😍☺🙏💒😍💯💘👏💕🙏🙏😍☺🙏🙏🙏💖💘💖💘💖💘☺💙💜💙💜💙💜
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    setsuen98

    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
    3139

    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
    3790

    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
    1583

    related works

    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
    3790

    setsuen98

    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
    3139

    recommended works