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    nekotakkru

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    #RL
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    #ニック亀

    兄弟喧嘩は亀も喰わない大きな物音はリビングから聞こえた。それも、ラボに籠もってドリルやバーナーを使うドナテロにまで聞こえる程の大きな音だ。何かあったのかと作業の手を止めて、急いでリビングへと向かう。部屋に入った瞬間、ドナテロの目の前を赤がものすごいスピードで通った。少し身を引いてそれを避け目で追う、通り過ぎた赤ーーラファエロは綺麗に受け身をとってこちらを睨んできた、思わずドナテロの体が固くなる。

    「てめぇ」

    怒声と共に向かってきたラファエロは、しかしドナテロをあっさりと無視して自分と対にいる相手に殴りかかった。が、その相手であるレオナルドは素早く拳を躱して踏み込みのため距離をとり、真っ直ぐに突きを繰り出した、受けるラファエロの掌が乾いた音を出す。
    攻防を続ける二人を見てドナテロは肩を落とした。思わず溜息が漏れる。ソファの背もたれを仕切りにして、格闘技でも観戦するようなミケランジェロに近寄ると不機嫌を隠さずに尋ねた。

    「今日は何?」
    「最後のピザの取り合い!」

    理由を聞いて更に脱力する。二人の喧嘩は兄弟の間で日常茶飯事だ。外で起こる事件に対して作戦の意見の違いやゲームの勝敗での不正云々など、大なり小なり原因は様々で数えていたらきりがない。口論から始まり、殴り合い、お互いの武器を使用しての戦闘が開始され放っておけばきっと殺し合いに発展するだろう。そうなる前に止めるのは師であり父であるスプリンターやミケランジェロの奇想天外な行動だったりする。

    「へぇ。凄くくだらないね。ところでマイキー、キミが食べてるそれは?」
    「この箱に残ってた、ピザ!」

    満面の笑みを浮かべてピザがミケランジェロの口へと運ばれる。傍らには既に食べ尽くされたピザの箱だけが残っており、他に同じものは存在しない。あっけなく姿を消していくそれを見ながら今日は後者で決着が付いたのを悟った。
    争う理由が別になったことを伝えようとドナテロは口を開いて、やめた。白熱するバトルを繰り広げる兄弟をじとりと睨んでまた小さく溜息をつく。

    「マイキー。僕が言えることは、それを食べたら静かに素早く逃げるんだよ。そしたら痛い時間が延びるからね。」

    わからない、と言った顔で返すミケランジェロの頭を優しく撫でてドナテロはラボへと戻っていく。扉を閉める前にもう一度二人を盗み見て、大げさに肩を竦めた。

    ホワイトボードに書き込んだシュミレーションの数は膨大で、白が殆ど黒へと変わっている。壮大なその計画表の上部には『エイプリルとの今後について』と名付けられていた。もはや書き込む場所なんて無いに等しいそれの片隅に、少し思案した後、ドナテロはペンを走らせる。書き上げて満足したようににんまりと笑ってから、はたと気づいた。

    「...いや、ないない。ありえないよ僕の馬鹿」

    書き込んだ上から乱暴にペンで塗りつぶすと、否定するように頭を振って、中断していた作業に取りかかる。

    ドナテロが先程見た光景。憎たらしげに相手を睨んでもどこか楽しそうな二人。お互い隠すことなく感情をぶつけ認め合い、じゃれている姿。ずっと前から気付いていたレオナルドとラファエロの距離感、きっと尋ねればどちらも全力で否定してくるが満更でもないその感情と関係。

    (あの二人を羨ましいと思うなんて...)

    機械音がドナテロを集中へと誘う頃、リビングでミケランジェロの悲鳴が上がった。
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