圭藤あついあつい、あっついよ葵っちー、なんて散々っぱら文句を垂れていたくせに、コイツは片時も離れる気はないらしい。
「むが、」
夜、目をつむる前に見た光景。
でへへーと顔面を溶かして、おやすみぃと七割くらいもう寝てるような挨拶を投げて、すやあーっと眠りに落ちていくその姿。
数時間前とほぼ変わらない己の状況に、あれ、俺ほんとに寝たんかな、ちょっと目ぇつぶってただけじゃね、と混乱させられる。わずかな体のかたさが、そんなことはないよと教えてくれるのだけれど。
要圭は、藤堂葵の脇の下へすっぽり収まっている。「葵っちぃ〜」とぬとぬとひっついてきて、「おっ、コレいいじゃーん」とこちらの肩口を枕にして、いそいそとふたりの隙間を埋めてくる。
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