あの頃のかがやきと未来青く若い春を眩しく思う。
あの頃確かに輝いていた夏を思い出させる眩しさに目を細めた。
かつて自分たちが歩んだ道に似ていて非なるもの。
「どうかしたか?」
あの頃から、いやそれよりもずっと前から変わらない己の相方が隣に並んで声をかけてきた。
「んー、なんや懐かしいなって。一生懸命な彼らが」
「……なるほどな」
曖昧な言葉でも彼は正しく意味を理解する。理解するより先に思考を揃えられるだけかもしれないが。
目の前のステージで音を重ねる彼らのオーケストラは自分が想像もできない領域まで羽ばたくのかもしれない。
「まだまだひな鳥だがな」
「また、そないな事言うて」
くすくすと笑えば隣の彼が楽し気に口角をあげた。
「色々と騒動になっていたが、俺の目に狂いはなかったな」
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