真意一閃(下) 四葉がチトセに着いて行った先は裏道の町屋。陽の当たらないであろうそこは、普通に過ごしていたら絶対に入ろうとは思わないだろう。いや、そもそもこんなところに店を構えているなんて、思いもしないかもしれない。道に面した店には目もくれず、通り庭を進み座敷へと上がった。待っていたのは一人の女性だった。
「派手にやられたね」
そんな呑気な声が、血だらけのチトセを笑い飛ばす。鬼であるチトセを見てもちっとも臆すことなく笑うということは、つまり、かれの正体を元から知っていた「存在」なのだろう。彼女は四葉を見て、ニコッと笑う。
「初めまして。ぼくの事は…うーん、とりあえず案内人とでも呼んで」
「は、はじめまして…四条院 四葉です」
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