天秤のキメラ 組織犯罪対策課の刑事は、捜査対象の情報取得の為にあらゆる手段を講じる。法的手続きなんて踏んでいたら組織壊滅どころか構成員の逮捕すら夢のまた夢という有様だから、表にさえ出なければ、不法侵入、盗聴、書類捏造と違法捜査も厭わない。反社も真っ青なラフプレーだが、巨大犯罪組織とやり合うというなら真っ先に捨てるのが社会倫理という名のルールだ。
警察組織の中で無法に等しいのが公安と組対だ。二つの課に属す人間は身分が明らかになることが命の危機に直結する。尾行や盗聴だけで送検に持ち込める案件なら肩書きで圧掛けすれば良い。そもそも、末端でも知れる情報なんてたかが知れてる。その程度のものは東京卍會に致命的な打撃を齎さない、トカゲの尻尾切りよろしく構成員を差し出せば済む。重要度が高い金の流れ、犯罪に関与した確たる証拠を掴むには中枢に刺さり込むしかない。
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