なんて不味そうに飯を食う輩だと思った。
仏頂面は常のこととして、そのご面相で汁でもお菜でも流し込むようにかっくらうのは、如何にも「腹を満たせればそれで良し」の風体で、料理人が作り甲斐がないと嘆くのも当然というもの。
とはいえさすがのカイレも雇い主に「飯が不味くなるからもっと美味そうに食えないんですか」とは言いづらい。主は唯でさえ気難しいヒトなのだ。
そんなある日のことである。
夏間近の時分、夕方になっても暑気は引かず、気分だけでも涼しげなものをと料理人があれこれ工夫した料理が卓に並ぶ。将と采配師の二人だけの食卓なのでそう品目は多くない。とにかく量をと積まれたアマムニィに、魚団子の冷やし汁、酸っぱさが食欲を誘う酢の物。
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