溶けそうに暑い夏の日であった。
主に客人出身の調停者をまとめる旗長アクタは、詰め所にてどろどろに汗を流しながら書類と格闘していた。
詰め所の戸と窓を全開にし、せめてもの抵抗にと窓際に水を張ったタライを置き、羽織を脱いで衿元も大きく緩める格好だ。本心を言えばいますぐ全裸になってしまいたいが、人目もあるので諦めざるを得なかった。
「ああ、タマミキョウが恋しい……」
肌もあらわな泳衣で過ごすのが日常の海辺の國を想い、アクタは溜め息をつく。袖まくりした腕に書類がべたりと貼りついた。
書類と一緒にやる気まで剥がしつつ、アクタは天井を見上げる。そこに、
「お邪魔します、なのです」
はきはきと挨拶し小柄な少女が入室する。名をネコネという、アクタ配下の調停者だ。
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