星8「どの面下げて言っているんだ貴様はっ」
ダン、と拳が分厚い天板を割る勢いで長机を叩く。反動で机は跳ね、大音声で肌がびりびりと震え、鼓膜がギンと痛んだ。背後でひっと小さく息を呑む音が聞こえたが間違いなく我が子だろう。灰髪の彼の後ろに隠れたのかもしれない。怖い目や危ない目には幾度となく合わせてきたが、この手の恐怖には慣れていないだろうから少し可哀そうなことをしたかもしれない。これも経験だと割り切ってくれることを願いながら、ベレスは黒髪の男に対峙して肩をすくめて見せた。
「周りの人にはあまり変わらないと言われているけれど、さすがに十年以上も会っていないと分からないかな」
「馬鹿にしているのか貴様! 見間違えるものか、己の所業に対して悔恨も悲嘆も慚愧することもないその顔、一度たりとも忘れたことはない」
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