ぱんつの話 眠りから醒めた時、自分が何処にいるのかすぐには分からなかった。だが既に見慣れつつある天井の模様と、背を預けているのが冷たく硬い床ではなく毛足の長いカーペットである事が、そして何より身体に触れる人肌の温みが、此処が長い時を過ごした牢獄のような場所ではないのだと教えてくれた。
触れ合っている胸から腹にかけての部分から伝わる熱が心地良すぎて、気を抜いたらまたすぐにでも睡魔に攫われてしまいそうだ。
重い瞼を何とか持ち上げると、視界の端に窓から入る午後の陽光を弾く銀色を見つけて、表面だけでなく身体の内側までもが温度を上げたような気がした。
傍らに他者の温もりがある。それが今までの生活との一番大きな違いだ。人ざらなる者である小さなパートナーの存在は、温もりだけでなく安心感をも与えてくれていた。
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