断たれた夢路の先に「御門浮葉か……」
コンサートホールのこけら落とし公演のため、京都に着いたのはつい先ほど。
ホテルのチェックインまで時間があるため、ホールのまわりで観光をしていたところ、優美でありながらどことなく儚さを持つ人と出会った朝日奈唯は心ここにあらずといった様子であった。
ホテルに戻り、銀河たちにその一連の出来事を伝えると、あっけないほどそのときの人物が誰であるか特定された。
銀河はひとりの人物の名を呟く。その声は記憶の糸をたどっているかのようにも感じる。
「みかど、うきは、さん……?」
先ほど別れた人の姿を思い浮かべる。
そこはかとなく漂う高貴さ、一方で儚い雰囲気。
名は体を表すというが、彼の名はこれ以上ないというくらい彼にふさわしかった。上品であり、それでありながらどこかに消えていきそう。
3724