いつか見た未来5年振りとなるスターライトオーケストラの京都芸術ホールでの公演。
その中心にいるのはピアノソリストを務める御門浮葉であった。
彼が弾いているのはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。
大胆でありながらもラフマニノフらしく随所に繊細なメロディーが切り刻まれた曲の魅力を持て余すことなく御門はその指先から紡ぎだしていく。
彼がステージに登場したときからその容姿に心奪われていた観客であるが、曲が進むにつれて今度は彼が産み出すメロディーに魅了され、そして最後の一音がホールに鳴り響いたと同時に観客は総立ちになり、惜しみない拍手を送ってくる。
それは御門が単に容姿や経歴といった話題性だけではなく、人を惹き付ける演奏をしていることを示していた。
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