夕陽が眩しかった「ふう」
京都から帰ってきて早1週間。
朝日奈唯は菩提樹寮のラウンジで溜め息を吐いていた。
ひとりでいると頭に浮かぶのは京都で出会ったひとりの美しく、そして儚い雰囲気を持つ青年、御門浮葉のこと。
透明感がありそして崇高さすら感じる音色が欲しいと思った。
そして、いつもなら旅先で出会った音楽家たちはスターライトオーケストラに加入してくれた。
だから、今回も御門はスタオケに加入し、バスでみんなと一緒に横浜に帰ってくると無意識に思い込んでいた。
……だけど冷たい雨が降った翌日に知らされたのは彼はこのスターライトオーケストラに入らないという事実。
スタオケがもっと技術的に満足いくオーケストラだったら。自分がそのためにもっとみんなを導いていたら。
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