天使が振り向いたその日「フェリクス、私たちはこれ以上仲を深めてはいけないと思うの。ごめんなさい」
女王試験が始まり50日目。
自分たちの仲はすっかり深まり、そしてそれはこれからも変わらない。
そう信じて想いを告げた矢先にアンジュから向けられた言葉。それをフェリクスは信じられない想いで聴いていた。
「なぜ……」
なんとか声を振り絞りそれだけを聞くが、目の前のアンジュは悲しそうな顔をする。
「言えない。でも、私たちは結ばれてはいけないと思うの」
「そう、わかったよ。君の気持ちは」
何とかそれだけを伝えてフェリクスは森の湖から離れることにする。
なんとか歩を進めるものの、本当は今すぐにでもうずくまりたい。だけど、それは美しくない。そう思い、自分を奮い立たせて館へと向かう。
8061