あなたに残して欲しい桜の痕跡温かい……
そう思いながら朝日奈唯が目を開けると、いつもとは違う天井が見えた。
目を覚ますと強い力で抱きしめられているのを感じる。
え、何!?
そして、ここはどこ?
そう思うものの、羽交い締めにされているため身動きが取れず、そんな中、記憶を探る。
昨日は確か学校で友達とテストの話をしていた。するとマインの通知が来て、それが御門からのものであり、誘われるがまま京都に来た。
夜の御門の家に来るのは初めてで、窓から光が見えない光景を新鮮に思った。
そして、案内されるがまま離れに来て、そして彼の父親ー衣純の盗作の真相や、御門自身の父親との思い出に耳を傾けた。
そして、おそらく彼が久しぶりに奏でたであろうピアノ。その透明感ある旋律に心打たれていると窓から雪が降っているのが見えた。それはまるで御門が父に呼び掛けたことに呼応するかのように。
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