ポップソング 夜八時、肉と油と軽快な声たちがひしめく店内にて──
小さな丸テーブルを囲みパチパチと肉の焼ける音に心を躍らせる三人の人間。オ・ジファ、ジフン姉弟、その真向いにはグラスを控えめに傾けるイ・ドンシクがいた。
「で、最近どうよ新しい恋人とは」
網の上の肉を転がしていたジファがやにわに口にした話題に、ドンシクは傾けていた手をぴくりと止めた。
「なんだよ急に……」
ドンシクが訝しげにそう答えるとジファの横でスマホをいじっていたジフンが徐に顔をあげる。会話に加わりたいのだろうか妙に真剣な顔になってドンシクの方に身体を向けた。
「いいでしょなんだって別に。あんた、ここ最近そういう話題無かったんだから、ある時ぐらい聞かせないよ」
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