asebi_LarHyun @asebi_LarHyun 橙・ラーヒュンの二次創作(小説)アニメ80話81話で沼落ちした新参者 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 11
asebi_LarHyunTRAININGラーヒュンのえっち。18歳未満は閲覧を禁じます。18歳以上? asebi_LarHyunTRAINING12/14ラーヒュン1dr1wrお題「頬」死ネタなのでお気をつけください。留守 頬に風が当たって気づく。オレの頬を伝うのは涙か。 ヒュンケルが死んだ。 懐かしい仲間をはじめ、これまでにこの世界で縁を紡いでくれた人々が集まり、それぞれの想いを込めて、ヒュンケルにお別れを言ってくれた。奴はそれを静かに聞いていた。それから火葬して、奴は自分の父親と似た形になって、オレのところに帰ってきた。 二人で住んでいた家はそのままに、オレは今、奴の遺骨と共に、あの頃と同じように旅をしている。 この海で、当時、オレはなんとなく母の思い出を話し始めたのだった。そのうち日が沈むと、それに引きずられるように、母が死んだときの、この世の全てに母が殺されたような気持ちが甦ってきて、オレは少し取り乱した。 986 asebi_LarHyunTRAINING12/3LHワンドロワンライお題「薬」。1時間半くらい。後日(23年3/3)加筆。労り「おいラー、耳の先に血が滲んでいるぞ」 「あぁ、大したことはない。寒さが厳しい時期は放っておくと乾燥してひび割れてしまうのだ」 ヒュンケルがそれくらいのことで太く凛々しい眉を寄せ眉の尻をやや下げているのを見て、ラーハルトは思わず目尻を下げながら、自分の耳に手をやって答えた。 「軟膏を用意するのを忘れていたな……とりあえず油をつけておけば保護にはなる」 そう言いながら寝台の横に据え付けた棚の扉を開け、オリーブ油を取り出して手に取り、耳につける。 「軟膏というと?」 「基本は、このオリーブ油や、羊の毛から採れる脂だ。そこへ、アロエの葉の中のずるずるした物を、すり潰して、濾して、煮たものを混ぜ込む」 「ほう、詳しいな。いつも自分で作っているのか?」 1363 asebi_LarHyunTRAINING11/12ラーヒュン1dr1wrお題「シャボン玉」1時間半くらい。ダイが帰還してさらに数年経ち、世界は平和で、二人は森の小屋で静かに暮らしている。森の小屋で二人*** 「ラー、来てみろ」 「なんだ」 小屋の裏で洗濯をしていたヒュンケルが、すぐ上にある台所の窓に向けて張りのある声をかける。朝食を用意する手を休めて窓から顔を出したラーハルトに、石鹸液に浸した両手をぎゅっと合わせてから徐々に隙間を広げ、すぼめた口から息を吹きかけて、ヒュンケルは器用にシャボン玉を飛ばして見せる。木々の間から射し込む朝の光が当たり、キラキラと虹色に光って、弾けて消える。ラーハルトの表情が緩んだ。 「綺麗だろ」 「ああ、絵になるな」 ラーハルトはしばらく、そうして遊ぶヒュンケルを眺めていた。母さんの洗濯の手伝いをしたときに母さんがやって見せてくれて、自分も真似をしてみたが、息が強すぎて手元の膜がその場で割れてしまった。何度か試すうちに大きなシャボン玉ができたとき、母さんが褒めてくれたから、余計に嬉しかったのを覚えている。 990 asebi_LarHyunTRAINING11/5ラーヒュン1dr1wrお題「お小遣い」2時間半かけています。ラーとヒュンの会話だけです。綺麗な菓子*** 「さすが世界一発展した国の城下町だ。何でもある」 「静けさや慎みは見当たらないようだが?」 「そう苛つくな。大魔王たちに怯える必要がなくなったから、これだけ活気があるのだ。よいことではないか」 「……だから人間共は愚かだと言うのだ」 「あまりはっきり物を言うと、いらぬ諍いを呼ぶぞ」 「お前もそう思うのなら構うまい。大魔王の脅威も、大魔王があれほど地上を滅ぼしたがった理由も、それに……ダイ様のことまでも……人間共はすぐに忘れ、目先の楽しさばかり追っているではないか」 「そう見えるな」 「バラン様のときと、これでは何も変わらぬ!」 「そうだろうか。オレはそうは思わん。ダイの願いが叶って人々の心が一つになったとき……お前にも聞こえただろう。あのときの思いを、皆が忘れたとは思いたくない」 1895 asebi_LarHyunDONE10/15 ラーヒュン1dr1wr お題「香水」自分は、記憶と結びつく香りを嗅ぐと、一瞬で自分が自分の内面に囲まれて世界と切り離される感覚になるため、ラーハルトの主観で書く形になりました。現代に転生後、自覚的な記憶なし。オードパルファム・ヒュンケル→公式から出ているヒュンケルをイメージした香水。龍涎香→名前に龍が入ってるので。断片 「香水」*** 今…は、いつだ オレは何者としてここにいるのだったか ここは世界のどの辺りだ オレと関わりのない人間ばかりの雑踏で、動く背景となっていた誰かとすれ違いざまに包まれた、その香りが、オレを世界から切り離す。 一瞬で、まわりの景色も音も消え去り、己自身さえ見失う。 正体不明の焦燥感がビッグバンのように膨らんで全身を支配する。 苦しい、痛い。 思わず胸を掴む。 何か見える……。 眼前に迫り来る、土の色の上、銀色の美しい髪と、眩く光る鎖。 風を切る音を掻き消す、気迫に満ちた叫び声、次いで全身に感じる、凄まじい圧力。 この感情は……。 慎重に思い出す。 驚き。感嘆。敗北感。 血管が、強烈に収縮させられる。 思い出すだと……? オレにそんな劇的な出来事の記憶はない。 2526 asebi_LarHyunDONE9/2ラーヒュン1dr1wrお題「一人あそび」お借りしました。原作軸、二人旅の最中。ぐー、ちょき、ぱー 「一人あそび」*** 「ぐー、ちょき、ぱーで、なにつくろー、なにつくろー」 地底魔城に幼い子供の声が響く。 歌声の主は、ランプの灯る部屋で一人、銀色の髪をさらさらと揺らして、小さくてふっくらした二つの手を握ったり開いたり重ねたり並べたりしながら、父の帰りを待っている。先ほどまで遊んでくれていた父の部下たちは、それぞれの部屋に帰っていた。 「父さんみたいに手が六つあったら、もっといろんな形がつくれるのにな」 「帰ったぞヒュンケル!」 「おかえり父さん!」 「ああ、ただいま」 黄色い折り紙で作られた星のメダルを首から下げた骸骨戦士が、両手を上げて駆け寄ったヒュンケルを、四本の腕で抱き上げる。 「おおっ、また少し重たくなったのではないか?偉いぞ、よく食べてよく動くことは今のお前に大切なことだ」 3474 asebi_LarHyunDONE8/27ラーヒュン1dr1wrお題「音楽」お借りしました。原作軸、ダイ帰還後。現在、二人は一緒に暮らしている。回想が多く、時制がわかりにくいかもしれない、すみません。***4、***5は原作中の出来事(内心を推測したりはしている)。ラー、ヒュンの他、回想でアバン先生がヒュンに語りかけています。ダイ、ヒム、クロコダインも回想で一瞬だけ出ます。バックグラウンド・ミュージック 「音楽」***1 日が落ちる頃、石畳の上を通り抜ける風に、ヒュンケルは上衣の首もとを緩め、涼しさを味わう。 食事とともに酒を供する店の、通りに出したテーブルの上のランプに火が灯る。一日の労働を終えた人々が、家路を辿りながら、あるいは腹と心を満たす店を選びながら、気の置けない者と話すくつろいだ声が、町の雰囲気を一層柔らかくする。 ラーハルトは、ベンガーナで行われた会議にレオナと出席したダイに帯同し、数日間パプニカを離れていたが、今日の昼過ぎに城に戻り、夕方、城の書庫にいたヒュンケルを迎えに来た。フードを被って二人で城を出て、今日は材料も準備していないからどこか店で夕食を取ろうと、立ち並ぶ飲食店を見ながらゆったりと通りを歩く。 6550 asebi_LarHyunDONE8/6ラーヒュン1dr1wrお題「夏バテ」お借りして書きました。現パロ。原作要素は申し訳程度。二人とも夏バテしてない。アイス、メントール、大蒜と生姜 「夏バテ」*** 「お前……晩飯前にアイスを食うな。昨日も言ったはずだ」 「体が欲する物は食べるのが正解だと言ったのはお前だろう」 「そうだが順序があるだろう…。まずはシャワーを浴びてさっぱりして、それから麦茶を飲め。暑いのはわかるが、安直に毎回アイスに頼るな」 ラーハルトは、暑い中、首に温泉旅館の名前が入った薄いタオルを巻き、中華鍋を振りながら、ヒュンケルに小言を言う。ヒュンケルは、残りのアイスを二口で口の中に収めると、風呂場へ向かった。 「お前のメントール入りのシャンプー使ってみてもいいか?」 「肌が弱いんだからメントールも駄目じゃないか?使ったことあるのか?」 「ない。そうだな、やめておこう」 ああ見えて繊細なのは心だけではないのだ、この男。 1211 asebi_LarHyunDONE7/30ラーヒュン1dr1wrお題「身長」お借りしました。現パロ。かっこいいラーやヒュンはいない。二人ともごく普通のサラリーマン(何度でも繰り返し出会う転生の中にそんな平凡な一生があってもいいと思う)。ヒュンは、原作軸では気を張り詰め続けていたので、現代でふわふわのゆるゆるになってもらった。悔しがるヒュンが今となってはやや解釈違い…なるほど、と言うだけかなと思うが、そういう生ということで…パジャマのズボン 「身長」*** 「ただいま。今日は早く帰れた…ん…だな、ヒュンケル…」 「おっ…かえり、ラーハルト」 二泊の出張から帰宅してリビングに入ったオレの目に飛び込んできたのは、オレのパジャマの上下を着て佇む、愛しい男。切れ長の美しい目をほんの一回りだけ大きくして、黒目をつーと泳がせている。オレがいなくて寂しくてそんな趣向に走ったのか…?いや、この男は二泊程度で寂しがるほど女々しくはない。洗面所をちらりと見遣って、そんな格好の理由には目星がついたが、それはさておき、帰宅早々、オレの方が、視覚から受けたその刺激で俄に興奮してしまった…この程度で反応するとは。出張前からしばらく忙しくて触れ合ってなかったからな…。くそっ、かわいいな…。 2556 asebi_LarHyunDONE7/23ラーヒュン1dr1wrお題「熱帯夜」お借りしました。原作軸。大戦後、ダイ帰還済、平和な世で二人旅中。夜の散歩 「熱帯夜」*** 暑い。暑すぎる。 東側と南側にある窓をどちらも開け放ってみたが、まとわりつくような熱気は微動だにしない。パプニカでは、夜は陸から海へと風が吹くので、少しは熱気が落ち着くのだが。湯浴みは夕食後に済ませたが、体はもう汗でべたついていて、そのまま寝台に横になることも躊躇われた。 ため息をつきながら窓の下を見ると、石畳はうっすらと白く、見上げれば、隣の宿屋との間の細い空に、満月が浮かんでいた。 下から視線を感じて再び石畳に目を向けると、帰ってきたラーハルトがこちらを見上げていた。ヒュンケルが顔の横へ手を上げると、ラーハルトは片方の口の端を上げ、頷いて見せた。あいつは食事の後、買いたい物があると言って、日の長い夏の間だけ開かれている夜市へ出かけていたのだ。 2742 1