会いに行く 今月末もしかしたら連休取れるかもしれない、と電話口で流川に伝えると、何のためらいもなく『オレもいけます』と言われた。とっくに梅雨も明けてすっかり夏らしくなった七月の中頃のことだ。
「え、流川も休めんの」
『うす』
「まじか、もう二週間後とかの話だけど」
急すぎない? と訊ねると、そうすかね、と淡々と続ける。
「もしかして元々休みだった?」
『いえ』
「そうなの、練習とか大丈夫?」
『まあこの時期だったらなんとか。てか今月末ですよね』
「え、うん、そうだけど」
『だったら絶対大丈夫っす』
絶対いけるんで、と念を押すように言われてしまい、ちょっと照れた。というのも、今月末、という条件が流川の判断の指針になっているのは明白だったからだ。言う間でもなくリョータの誕生日。七月最後の日。流川が忘れるはずがない。
10801