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    @Clanker208

    水都百景録の一部だけ(🔥🐟🍠⛪🍶🍖🐿🔔🐉🕯)
    twitterにupした作品以外に落書きラフ進捗過程など。
    たまにカプ物描きますがワンクッション有。合わなかったらそっとしといてね。

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    POIPOI 116

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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆ENJ度5/5

    本作はこの場面のための作品なんだけど、それゆえに大っぴらに公開できないという…。うーんこれどういうカテゴリに入るんだろ、恋愛感情ではないと思うんだよな
    引用文は聖書です。文語訳から、文脈に合わせてちょっと手を加えました。
    文末の光は崇禎帝の治世の暗示。
    崇禎朝で徐光啓は活躍したけど袁可立は二度と出仕しなかったんですよね
    橄欖之苑 第十四幕その知らせを聞いたのは、日が落ちかかった頃だった。急ぎ馬を出し、灰色の街を駆けていく。瑠璃瓦を葺いた牌坊をくぐり、仕事を終えた振り売りたちが炭火を囲んで路地でたむろしている横を通り過ぎ、住宅街に面した通りに出る。
    夕暮れ時の大気は残酷なほどに冷たい。向かい風を浴び続け、頬はすでに感覚を失いかけていた。
    手綱を引いて馬を止める。邸宅の様子をうかがうと、ひと気を感じず、がらんと静まっている。しかし彼の家にはもともと人が少ない。それはいつものことだ。来訪を告げると馴染みの老僕が取り次いでくれ、中に入ることを許された。

    「君もおせっかいだな」
    相変わらず手狭な部屋で、苦笑交じりの声が出迎えた。
    「聞いての通りだ。天津に移るよ」
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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆ENJ度4/5

    なお袁可立が本気出して魏忠賢に逆らい始めたのは本当は天啓6年の高攀龍の死がきっかけらしい 今回の彼の口ぶりは五幕の高攀龍と結構被らせてます。皮肉の意味で。
    弱いから中立でしかいられない徐光啓と強いから中立でも平気な袁可立の対比が好き
    歴史上でもこんな感じ
    橄欖之苑 第十一幕「元気がないな」
    そんな何気ない声かけに応じるのにも、今は気力が必要だった。
    「こんな時に、お前は元気でいられるか?」
    ようやく返事をすれば、今度は相手の方が口をつぐむ番だった。
    「中立のお前には関係のないことか」
    「嫌な言い方をするな。君だって、同じ立場じゃなかったのか?」
    交わす言葉に棘が混じる。
    朝廷の政変は恐れと焦燥を呼び起こし、俺たち二人も含め多くの者から心の余裕を奪ってしまっていた。

    目の前には、広い湖面が横たわっている。
    順天府の西門である阜城門を抜けて二、三里ほど行くと、玉淵潭という古くからの景勝地がある。玉淵潭はいわゆる大運河の水から生まれた湖で、湖畔には花木が生い茂って天然の園林となり、文人たちが霊感を求めて訪れるほか、清明節や上巳節の折には踏青に出かける市民たちで賑わう場所だ。城壁外と言っても街から遠すぎず、今は特に見頃の花もないため人出もない。「密談」には良い場所だろうと思ったのだった。
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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆この回は要素なし

    軽い状況説明回(内容は重い)。
    これもうどうすりゃよかったんだよ…やっぱ中央集権型政体はトップがアホだとどうしようもない
    楊漣については毀誉褒貶どっちもありますねー。個人としてはGJだけど東林党壊滅の発端を作ったという点では馬鹿なことしたな、的な。
    趙彦さんが七十名に加わっていたかどうかは不明 この人情報少ないんだ…
    橄欖之苑 第十幕「楊漣殿が、逮捕されたぞ!」

    「彼を助けないと」
    「余計をなことをするからだ」
    その日は朝廷のあちらこちらで、そんな声が飛び交っていた。
    それは東林党と宦官党の党争が、新たな局面を迎えたことを告げる出来事だった。

    去る天啓四年六月。
    東林党の領袖の一人であり、都察院左副都御史であった楊漣は魏忠賢の専横を見かね、その罪状を数え上げてこれを弾劾した。

    太祖は宦官が政に干渉することを許さず、国政は内閣に委ねられるべきものであった。にもかかわらず魏忠賢は国政を壟断し、政体を乱している。これが第一の罪。

    先帝が任命した大臣を嫌い、帝に解任させようとした。これが第二の罪。

    帝の周りから忠臣を退け、逆臣を近づけた。これが第三の罪――
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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆ENJ度3/5

    アダムシャール、神功戲にも出てくるけど可愛くて気に入ってる。ドイツ人です。
    天主堂の場所は「魔鬼之家」にでてくるあそこです。リッチが建てた当時は中国風建築だったらしいけど。(シャールが西洋風の教会を建てたのは清代のこと)
    橄欖之苑 第九幕順天府は三重の城壁によって囲まれている。
    中心にあるのはむろん天子の住まう紫禁城の壁、その外側には宮城を守る皇城の壁、さらにその外にあるのが、街と外界を隔てる外郭だ。それは上空から見ると凸字状をしており、永楽の御代に元朝の大都城の城壁を改築した内城を基礎として、さらに今から百年ほど前には、韃靼(モンゴル)の脅威に備えその南に横長の外城が拡張された。外城の中は、主に庶民の生活空間になっている。

    驚いたことに、その場所は内城の南西に設けられた宣武門の内側、宮城にごく近い所にあった。その区域に近づくと、門の麓に広がる灰色の家並みの上から、細長い塔のようなものが突き出ているのに気づいた。鋭角の三角屋根を持つ、中華では見慣れない様式の建築。よく見ると、頂点には金属製の十字架が据えられている。天主教の象徴、それくらいの知識はあった。
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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆この回は要素なし

    袁氏vs魏忠賢回。回数的にはここで折り返しです。
    こういう探り合いみたいなシーンって頭いい人が書けば本当にカッコよくなるんだろうけど自分には無理でした。
    魏忠賢が袁氏に目をつけて利用しようとしてたのは史実。わざわざ出向いてこないだろと思うけど、創作ゆえの単純化ということで。
    橄欖之苑 第七幕ある日のことだった。
    「万花楼で焦竑殿がお待ちになっている」。
    帰宅するなり、家人がそんなことを告げてきた。急な誘いに駆り出されるのは我々の間ではままあることだ。もっとも、それはどちらかといえば焦竑殿というより董其昌殿の得意技であったのだが。
    自分たちのことにはてっきりもう構わないのかと思っていたが、存外あの人もお節介なものだ。そんなことを考えながら官服を着替えると、馬を出し、指定された店へと向かった。

    万花楼は初めて訪れる酒店だった。繁華街の一角にあり、三階建ての立派な店構えをしている。
    馬を預けて足を踏み入れると、出迎えたのは音の洪水だった。広間は三階まで吹き抜けになっており、そのために宴席から聞こえる音曲や、酔客と妓女の交わすさざめきで常に騒がしい。中央の大階段や各階の欄干は灯篭や彩絹で飾られ、店名の通りいかにも華やかな趣だ。
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    DONE★水都史実二次。人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆この回は要素なし。

    天啓朝宮廷息苦しすぎて、自分で書いててウンザリしてきた

    党争に対して袁可立が中立を貫こうとしたのは本当。
    東林党に勧誘される場面をつくろうと思ったら高攀龍の存在を知って
    いよっしゃあ!と思ったはいいものの史実だと天啓四年に罷免されてた…
    なのでここも創作です
    橄欖之苑 第五幕茜色の交じりはじめた午後の大気を震わせて、太鼓の音が響きわたった。申の刻を告げるその音は、退朝の合図でもある。この瞬間からしばらくの間、外朝の広大な広場は、それぞれの部署から帰路につく官吏達で埋め尽くされることになる。赤、青、緑。色とりどりの官服を着た人の群れが、外朝の正門たる午門へと一斉に向かっていくさまは、まるで流民の移動のようだ。鶴を駆る仙人でも上空を通りがかれば、さぞかし愉快な光景が見られることだろう。

    「礼卿!」
    足早に歩を進めていると、どこからか俺を呼ぶ声がした。聞き覚えのある声に足を止めると、人波をすり抜けて、同じ赤い袍を着た官吏がこちらに歩いてくるのが見えた。雑踏の中だというのに、その足取りは儀礼の最中ででもあるかのように悠然と落ち着いている。果たしてそれは、見知った友人の姿だった。
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    DONE★水都史実二次 人を選ぶ要素含むので前書き確認PLZ
    ☆この回は要素なし。

    橄欖、ENJ要素はアレだけどこういう所は読んで欲しいジレンマがある
    直接皇帝に上奏するのが正しいんだろうけど、書きたかったのは会話内容なので仕方なくこうしました。
    袁可立が毛文龍絡みで弾劾されていたのは事実。海防強化を主張・防衛<攻撃だったのも。
    魏忠賢は和平派とも言うけど、毛文龍を支持していたとも聞くしよくわからん。
    橄欖之苑 第四幕「水軍の増設、沿海及び諸島における防壁と城砦の建設、烽火の連絡網の整備―」
    書類を読み上げる上官の声が、次第に唸るような調子に変わっていく。机を挟んで後ろ手に立ち、俺はもどかしい気持ちでそれを聞いていた。声の主は松葉のような髯に覆われた顎に手を当て、その太い眉の間には今や険しい溝が刻まれている。

    「……袁侍郎」
    ややあって、目の前の人物――兵部尚書・趙彦は顔を上げた。虎や豹に似て丸みを帯びた、しかし鋭い光を宿した双眸は難儀そうに細まっている。
    「貴殿の実績と才覚は、よく存じているし評価もしている。だが私の意見としては、優先すべきはやはり関寧方面の防備強化と軍の環境改善であると思う」
    言い終わると同時に、趙尚書は執務机の上に書類をぽんと投げ出した。
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