小休止チュ、チュ、チュ。
麗らかな午後の日差しが差し込む部屋に、何とも可愛らしい音が響いている。
積み上がっている書類仕事の合間に一息いれようと、侍女に頼んで茶器を用意している間にこの人は。
「…ディオン様、あの…」
「おお、テランス」
寝台に腰掛けておかえり、と宣う彼の手には愛らしい熊のぬいぐるみ。
「何をしておいでで?」
可愛らしいのは熊よりも小首を傾げた彼自身だが。
「んー、…キスの練習?」
もこもこの鼻面に向けて、ちう、と小さな音を立てて吸い付いていたディオンは悪びれる様子もなく舌を出した。
ん?といたずらっ子の顔で微笑む彼の思惑は如何ばかりか。
「なんだテランス、羨ましいのか?」
「いえ、その」
いや正直羨ましいが。
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