宝物
休日の朝、グレイは本日発売のゲームを求め家電量販店へとやってきた。当日という事もあり混み合うレジ、ここにいる人が皆このゲームを求めてやって来たと思うとなんだか口の端が緩んでしまう。
予約こそしているのだが、いつも開店一番に受け取りに行くのが癖になっている。早朝は空気が澄んでいて心地がいいし、昼間は肩がぶつかるほど人が歩いている大通りもストレスなく歩けて好ましい。無事に入手したソフトを大事に抱えて帰路に着く。時刻は昼前を指していたが、今日は寄り道どころではない。部屋に着いたら封を切って、説明書代わりのコードを読み込んで、それからゲームに取り掛かろう。
「グレイじゃないか」
「っはい?」
タワーのエントランス、人々がにぎわう中でも彼の声はよく通る。ジェイは、ニコニコとこちらへ寄ってくれた。
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