金環は碧落一洗に輝く アスカガ新刊サンプル② オーブ軍事施設内。
ミリアリアはズンズンと背後に物々しい効果音が付きそうな足取りで施設内を歩いていた。
先程から探している人物はなかなか見当たらず、かれこれ十五分は施設内を探し歩き回っている。事前通達されたスケジュール通りであれば、すでにオーブへ帰国している頃合いのはずだ。
黙々と足を動かすミリアリアをどうしたんだろうと横目に見る同僚達に目もくれず、彼女は先を急いだ。
「あれ、ミリアリアさん?」
通り過ぎた一室からミリアリアの名を呼ぶ声にピタリと足を止める。くるりと振り返り声のした方を見れば、部屋の入り口からひょこりと顔を出す女性と目が合う。臙脂色の髪を持つミリアリアがよく知る人物がそこにいた。
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