陽だまりを知る 11.天ノ弱
「君に結婚を前提に交際を申し込みたい」
「………………は?」
明日どこかへ出かけないか、と同じくらい簡単に切り出された言葉に蛍は言葉を失った。確かに今日の彼はどこか変な感じではあった。たまたまスメールの冒険者協会で依頼を受けていたところに彼と出会して任務に同行すると言い出したのだ。
普段自分の興味のあることしか同行しない彼にしては珍しい申し出だった。今日の依頼は単純なドレイクの討伐のみで彼の知識欲が唆られるような内容ではなかった。
一瞬、ドレイクの構造に興味でも持ち始めたのかと尋ねてみたが、それも違うと言われてしまった。
違和感を感じたまま、依頼場所へ行きあっさりとドレイクを倒した後、再びスメールシティに戻って昼食を取ることになったがカフェのテラスの椅子に座り食事をしている最中、あっさりと先程の言葉を彼は口にした。
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