Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    天生麻菜

    @skypiano_1120

    たまにあげる。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💫 ✨ 🌸 🐈
    POIPOI 22

    天生麻菜

    ☆quiet follow

    恋人同士の綾人蛍。
    蛍ちゃんがちょっと純粋無垢すぎて性事情を知らないお話。
    一応フォロー限定にさせていただきます。

    #やとほた
    #綾人蛍
    ayatolumi

    生命はどこから? 「綾人さん、子ども産んで?」
     突然の恋人の発言に綾人は筆を持ったままピシリと固まった。先日恋人になったばかりの彼女は、今までの茨道をどう通ってきたのだろうと思うほどに初々しい反応を見せていた。
     口づければ顔を真っ赤にして固まってしまうし、抱き寄せれば身体が岩になってしまったのかと思うほど硬直させている。ゆっくりと段階を踏んで、何度も触れてきてやっと綾人の腕の中で緊張しつつも幸せそうに笑みを浮かべるようになったのだ。それが、何故こんな話になったのだろうか。
    「…蛍さん?どうして突然そんなことを?」
     内心の焦りを表情に出さないようにしながら、彼女に問えば蛍は花が萎れたかのように表情を暗くして口を開いた。
    「昔お兄ちゃんには、コウノトリが連れてくるんだよって言われたけど鳥が運ぶには赤ちゃんは大きすぎるでしょう?でも、空はそれ以上教えてくれなくて…」
     それは当然だろう。双子の兄妹として妹に交わりの話なんてしたくないし、綾人だって綾華に話してほしいと言われても上手く躱して逃げるだろう。兄の気持ちとして空の思いはわかるが、恋人としては無垢すぎる彼女に身の危険に不安を覚えるため教えておいて欲しかったという気持ちが綾人の中で混ざりあっている。
    「だから誰かに聞けないかなと思って、パイモンも知らないって言うしトーマがいたからトーマに聞いたの」
     その場に綾華がいればもう少し違った結果があったかもしれないが、既に時は遅い。
    「トーマは綾人さんなら叶えてくれるかも、って言ったから」
     間違ってはない。ただ、根本の問題点は全く解決できていないし、逃げたなトーマ。
     内心でトーマへ私怨を覚えるが今はこの状況をなんとかしなければならない。
    「綾人さんなら子どもを産めるの?」
    「子どもを産むのは女性ですよ。まぁ、私も手助けはできますが」
     と言うより、男女が共にならなければ子どもは授からないがそれよりも、綾人は確認しなければならないことがあった。
    「どうして急に気になったのですか?」
     彼女と恋人になってから、そういう男女間のやり取りの話を蛍としたことはない。彼女は綾人から与えられるものに手一杯で他のことを考えている余裕もなさそうに見えていた。
    「だって、子どもが生まれたら綾人さんと家族になれるでしょう?」
     がん、と頭を殴打されたような衝撃を得た気がした。
     彼女は外から来た異邦人で、兄を見つけたら他の世界へ旅立ってしまう。それでも繋ぎ止めておきたくて、恋人になっても繋ぎ止めておけるかは不安定だった。それを、彼女が自ら繋ごうとしてくれている。
    「私と家族になってくれますか?」
     真っ直ぐに彼女の瞳を見つめて告げると彼女は鈴が鳴るような声で答えた。
    「うん、なりたい。だから、綾人さん。ちゃんと教えてね?」
     無垢な彼女が眩しくて、綾人はその額へ軽い口づけを落とした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    天生麻菜

    PROGRESS10月神ノ叡智12の新刊の3話目。このお話で終わり+書き下ろしの内容になります。
    綾人蛍綾人で年齢制限あり。
    蛍ちゃん攻め、綾人さん非童貞非処女描写があります。(挿入は綾人→蛍のみ)
    綾人さんと姫蛍ちゃんの政略結婚から始まるお話。
    このお話の続きにも年齢指定入りますが2話目以降は年齢指定ありサンプルはあげませんのでよろしくお願いします🙇‍♀️
    私が私たちであるように 33.私が私たちであるように


    「綾人さん」
     蛍の抱えるものを聞いた日から、綾人と蛍の距離は以前より近いものになった。少しずつではあるが、蛍から綾人に近づいていくことが増えていったのだ。
    「林檎飴の屋台の人から材料が少し足りなくなりそうって手紙が来てますよ。少し調達しておきますか?」
     ただそれは彼女が綾人の公務を手伝うようになり、会話する機会が増えたのも理由ではあるのだが綾人は大きな進展だと思っている。
    「おや、予定量で足りなさそうなのですか?」
    「……実はこの花火大会、社奉行が主催ってことが各国とカーンルイアやアビス教団にも伝わったみたいで。各国からの観光客が二倍に増えてるんだそうです」
    「……なるほど」
     この花火大会は毎年行っており、社奉行が主催していることは特別ではない。ただ今年は、社奉行が――神里家当主である神里綾人がアビス教団の最高指導者であり、カーンルイアの姫君でもある蛍と婚姻を結んだことは当然各国に知れ渡っている。蛍を迎え入れてから初めての花火大会ということで注目を浴びているのだろう。かといって特別何か新しいことを催すということはない、花火は昨年よりも多めに打ち上げるよう依頼はしているが。
    4219

    天生麻菜

    PROGRESS10月神ノ叡智12の新刊の2話目。
    綾人蛍綾人で年齢制限あり。
    蛍ちゃん攻め、綾人さん非童貞非処女描写があります。(挿入は綾人→蛍のみ)
    綾人さんと姫蛍ちゃんの政略結婚から始まるお話。
    このお話の続きにも年齢指定入りますが2話目以降は年齢指定ありサンプルはあげませんのでよろしくお願いします🙇‍♀️
    私が私たちであるように 22.折れた傘をさす


     婚姻が成され、蛍は正式に稲妻で暮らし始め、早くも一月が経過した。初夜を終えた朝、綾人が目覚めた時には、すでに蛍の姿はなかった。ただ、手ぬぐいで軽く清拭された身体に気づいて、彼女の手を煩わせてしまった自負と彼女の変な律儀さに心は掻き乱された。綾人を襲ったことに彼女はある程度の後ろめたさがあるようだった。
    「蛍さん」
     廊下を歩く白い背中に綾人はそっと声を掛けた。きっと、綾人が背後にいたことを彼女は気づいていただろうが。
     毎朝顔を合わせるようになったとしても綾人と蛍の距離はなかなか縮まらなかった。綾人は毎日彼女に声をかけるが彼女の反応はそっけないものだった。ただ、それも少し変化があったように綾人は感じている。婚姻前にあったような、蛍の刺々しさが少しだけなくなった気がしているのだ。それか、単に綾人が彼女の態度に慣れただけかもしれないが。
    7325

    related works