霧の中初めて、修練場ではなく、外で実践的な訓練を許された日だった。
大社跡と呼ばれる場所は、そう遠くもなく、ガルクに乗れば一日で往復できる程度の距離だと、そう聞かされている。
一眠りしていればついている、とは言われたものの、初めての外での訓練とあっては、緊張と少しの興奮で眠れそうにない。
そんな様子を察したのか、同伴するウツシ教官は、存外に真剣な様子で、まだ幼い弟子に、こう言い聞かせた。
"無理に寝ようとしなくてもいいけれど、霧が出たら絶対に目を開けてはいけないよ"
いつもの笑顔が消えた顔が、まるで全く知らない相手のように思えて、幼い弟子は怖々頷いた。
すると、直ぐに何時もの笑顔に戻ったので、少しほっとした幼い弟子は、随分と上にある顔を見上げて、何故かと訪ねた。
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