たりないふたりその日も、下等吸血鬼を退治人と吸血鬼対策課が連携して退治し、VRCに引き渡したあとだった。夜明けが近い、いちばん深くて暗い濃紺の下、赤と白がだらだらと歩いている。
「ドラ公にさ、」
赤い退治人はその夜もいつもと変わらぬしぐさでなんてことないように言う。そろそろおでんがおいしい季節だ、だのと話していた延長線上で、星を見上げながら。
「みれんをつくれ、って言われたんだよな」
――俺はうっかり死にそうなんだと。
その言葉に半田は隣をみた。腹立たしいほどに整った横顔だった。まるで、にんげんではないみたいに。そんなことが頭を過ぎって、半田桃は思い切り顔を顰める。
「配偶者でも作れと? 結婚など、お前なんぞにできるのか」
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