光が陰の中で揺れている。ゆらゆらと動くか細い炎が二十六個も集まれば、それなりの明るさになっていて。
月明かりだけが頼りの夜。古びた校舎の中で浮かび上がる灯りは、怪奇現象としてSNSの注目の的になることもあるだろう。場合によっては瞬く間に拡散され、新たな肝試しの会場として名を連ねたりもするのだろうが、この場所に至っては大丈夫だと言い切れる。なにしろここは、人通りが少なく都心から遠く離れた場所だからだ。さらにいえば、現役の都立高校。仮に部外者に見られたところで、各学校が保有する七不思議のひとつの枠に収まる。学校の七不思議なんて言葉で収まるかは人によるかもしれないが。
「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースディーディア――……」
6030